毎回説明しなくても、「いつものやり方」で動いてくれる状態を作る
前回は Claude に作業を任せる体験をしました。今日はその Claude に前提とやり方を覚えさせて、頼むたびに同じ説明を繰り返さなくて済む「自分専用の相棒」に育てます。合言葉は「1回教えれば、2回目からは一言」です。
はじめての方 — 共有された brainstorming スキルを使い、自分のスキルを1つ自分で作って効くことを確かめること。
経験者 — 「何を常に読ませ、何を必要なときだけ読ませるか」というコンテキスト設計の考え方を理解すること。
今日のタイムスケジュール
はじめに・宿題の発表
26分§0.1前回の質問にお答えします
第2回のふりかえりアンケート(回答66名)に寄せられた質問のうち、複数の方に共通していたものにお答えします。当日は主なものだけ触れます——残りはこの資料で読めます。
Q.機密・社外秘のデータは、どこまで読み込ませてよいですか?(5名から同趣旨の質問)
社内ルールの正式な情報源は情報資産取扱マニュアル(Ver4.02)です(社内ポータルの ISMS 文書。AI 利用時のデータ取り扱い規約を含みます。閲覧には社内アカウントでのサインインが必要です)。実務上の線引きは第2回の種明かし②と同じです。
- 顧客から預かったデータ・個人情報(氏名・メールアドレス・顧客名など)は入れない
- 試したいときはダミー化・マスクしてから渡す(第2回の「ダミー化3手順」)
- 判断に迷うデータは入れずに、上長または運営に確認する
Q.実行時の「許可しますか?」は、業務で本当にOKしてよいのですか?判断基準は?
- 承認を求められたら、何をしようとしているかの1行を読むのが基本です
- 読み取り(ファイルを読む・一覧する)は基本OK。作成・上書き・削除・外部への送信は、対象と範囲を確認してから許可します
- 迷ったら拒否してかまいません。拒否しても会話は続き、Claude は別の進め方を提案してきます
Q.Claude Code と Cowork は、どう使い分ければよいですか?(3名から同趣旨の質問)
まず前提として、両者は同じモデル・同じエージェントの仕組みです。いちばんの違いはコマンドやコードを「どこで実行するか」です。
- Claude Code:
cd・grepなどのコマンドを自分のPC(ローカル環境)で直接実行します。ターミナル・Git操作(コミット・ブランチ・プルリクエスト)・差分レビューを備えます - Cowork: コマンドやコードの実行はPC から隔離された仮想環境(Anthropic サーバー上)で行われ、PC の環境を直接変更しません。ローカルに触れるのは接続したフォルダだけ・アプリを開いている間だけです。Excel・PowerPoint・Word・PDF を生成する公式スキルを使った文書成果物づくりが得意です
使い分けの基準: Claude Code が実行しようとしているコマンド(cd や grep など)を読んで内容が判断できるなら Claude Code、コマンドの中身に不安があるなら Cowork——くらいの基準で選べば十分です。なお MCP・スキル・プラグインなどの拡張は両方で使えます。
Q.Cowork で Excel 以外——Python コードなども作れますか?
- 作れます。Cowork も内部ではコードを書いて実行しています(Excel 生成もその仕組みで動いています)。Python スクリプトなどのファイル出力も依頼できます
- 作ったコードを継続的に育てていくなら Claude Code のほうが向いています(上の使い分けを参照)
Q.PDF のデータと Excel のデータの照合はできますか?
- できます。複数ファイルをまとめて読み、突き合わせて差分や不一致を報告させられます。第2回の作品紹介「請求書→台帳転記」と同じ型です
Q.CLAUDE.md の書き方——何を書けばよいですか?(2名から同趣旨の質問)
- 今日の冒頭、復習コーナー(§0.4)で扱います。種明かし(§4.1)では「何を CLAUDE.md に書き、何をスキルに切り出すか」の仕分け基準を扱います
Q.「思ったより時間がかかる」「英語で返ってきた」「出力先がズレた」——どう防げますか?
前回のアンケートで多かったつまずきです。すべて今日の内容で回収します。
- 毎回の指示に時間がかかる(6名) → 手順をスキルにして、2回目からは一言で呼ぶ(§1 で全員体験します)
- 英語で返ってくる → 前提ファイルの1行目に「日本語で答える」と書く(§0.4・§4.1)
- 出力先が指定と違う場所になる → 前提ファイルに出力先のルールを書く(同上)
- 議事録を頼んだら「議事録を実施した報告書」が出た → 目的と背景まで書く(プロンプトのコツ#2)
§0.2みんなのコツ — 前回アンケートから
第2回アンケートの「コツ・発見」欄(記入9名)から、2つ紹介します(匿名・要約)。
ランキングさせると、AI が自分の出した回答を自分でレビューしてから順位を付けるため、1案だけ頼むより質が上がる——という発見です。プロンプトのコツ#1「数で頼む」(第2回)の実践版です。
宣言しておくと、方針の確認を挟みながら丁寧に進めてくれる——という報告です。この「自分の状況を先に伝える」は、今日の前提ファイルに書けば毎回宣言しなくても効き続けます。
§0.3宿題の発表 — テーブル内で1人2分
前回の持ち帰り演習——「自分の題材で任せてみる」「前提ファイルを書いて効き目を確かめる」——の結果を、テーブル(グループ)内で順番に発表します。1人2分・テーブル全体で10分が目安です。
- 何を任せたか — 実際の画面や成果物を見せながら(スライド不要)
- 前提ファイルは効いたか — CLAUDE.md/プロジェクトの指示で挙動は変わったか
- 一言 — 発見したコツ、次にやってみたいこと
進行はテーブル内で時計回り。2分経過の合図は運営がスクリーンに出します。うまくいかなかった話も発表対象です——今日の内容はまさに「効かなかった理由」の種明かしです。
§0.4前回の復習 — CLAUDE.md(担当: 深瀬)
前回登場した前提ファイル CLAUDE.md を、運営の深瀬が復習します(約6分)。今日のハンズオンはスキルづくりに集中するため CLAUDE.md 自体は書きませんが、種明かし(§4.1)の「何を前提ファイルに書き、何をスキルに切り出すか」の前提になります。Cowork コースの「プロジェクトの指示」も、名前が違うだけで考え方は同じです。
CLAUDE.md 説明資料(社内 SharePoint・PowerPoint) — 閲覧には社内アカウントでのサインインが必要です。
§0.5今日の位置づけ — 3色バッジの見方(前回と同じ)
今日も Claude Code(開発コース)と Cowork(業務コース)に分かれますが、今日のテーマ「スキル」の考え方は両コース完全に共通です。最初のスキル体験(§1)は全員が同じスキルを使い、講師デモ(§2)は Cowork の画面1本ですが、内容はどちらのコースにも当てはまります。コース別に進むのは後半のハンズオン(§3)だけです。バッジのない部分と 共通 は全員が対象です。
プロンプトのコツ #2 — 目的と背景を書く 共通
4分コーナー第2弾です。前回の「種本の紹介」(第2回 §T.4)で名前だけ挙げた「指示の理由・背景を添える」を、今回はまるごと1テーマとして掘り下げます。このあとのデモとハンズオン(スキルの手順書づくり)に直結するコツです。
§T.1なぜ効くのか
AIは、指示だけをぽんと渡されると「言われたことを言われたとおりに」こなそうとします。ところが、その指示の「目的」まで伝えておくと、こちらの意図をくみ取って、書ききれなかった細かい判断や、想定外の場面まで、こちらの狙いに沿って動いてくれるようになります。開発元の Anthropic も公式ベストプラクティスで「指示の背景や動機を添えると、Claude が目的をよりよく理解し、的を射た応答を返しやすくなる」と明言し、「Claude は説明があれば、そこから自分で応用を効かせられるくらい賢い」とまで書いています。目的は「一を聞いて十を知る」ためのヒントなのです。
§T.2ビフォー/アフター
ビフォーは「三点リーダーはダメ」という一点しか伝わりません。アフターは「音声で共有する」という目的が入っているので、三点リーダーだけでなく、顔文字や記号の羅列など「声に出しづらいもの全般」も避けてくれるようになります。ルールを一つずつ列挙しなくても、狙いから先回りしてくれるのがポイントです(この実例は Anthropic 公式ドキュメントの例をもとにしています)。
§T.3今日のスキルづくりにそのまま効きます
このコツは、その場で打つプロンプトだけの話ではありません。このあと作るスキルや CLAUDE.md の「手順書」にこそ効きます。手順だけをずらりと並べた手順書は、想定外の入力が来たとたんに崩れます。冒頭に「このスキルは何を、どんなときに使うためのものか」という目的を一段落書いておくと、AIがその目的に照らして「たぶんこう扱ってほしいはずだ」と補って動いてくれます。実際、Anthropic のスキル公式ガイドも、スキルの説明文には「何をするか」に加えて「いつ使うべきか」まで書くことを求めています。ハンズオンと持ち帰り演習でスキルを作るときは、まず目的の一段落から書き始めてください。
§T.4あわせて使いたいコツ3つ
- A「使わないで」より「こうして」 — 禁止だけを伝えると迷いが残ります。「箇条書きにしないで」→「文章のつながる文で書いて」
- B新入社員に頼むつもりで — 公式いわく「Claude は優秀だが、社内の事情を知らない新人」。部署の常識・略語は通じない前提で、前提から書きます
- C同僚テスト(公式の黄金律) — 「その指示を、事情を知らない同僚に渡して作業してもらえるか。相手が迷うなら Claude も迷う」。送る前に他人の目で読み直すのが確実です
スキルを体験する — brainstorming 共通
10分スキル(Skills)とは、Claude に渡す「作業手順書」のファイルです。開発元の Anthropic は「新しく入ったメンバーに、仕事のやり方をまとめた資料を渡すようなもの」と説明しています。一度書いておけば、Claude はその作業のたびに手順書を開き、毎回同じやり方で仕事をします。
§1.1たとえ話 — あなたが上司、Claude が新人
Anthropic は公式ベストプラクティスで、Claude を「優秀だが、社内の事情を何も知らない新人」にたとえています(プロンプトのコツ#2にも登場した比喩です)。あなたはこの新人の上司です。このたとえで、今日の登場人物を先に整理します。
| Claude でいうと | 職場でいうと |
|---|---|
| コンテキスト — AI の作業記憶。容量が有限で、詰め込むほど本題に使える余白が減る(第2回の種明かしで登場) | 新人が一度に頭に入れておける話の量。長話になるほど、最初の方から忘れていく |
| CLAUDE.md/プロジェクトの指示(前提ファイル) — セッション開始時に毎回自動で読み込まれる。§0.4 で復習したもの | 初日に行うプロジェクト説明。目的・前提・決まりごとを最初に伝えてから仕事を頼む。Claude はセッションのたびに「初日」に戻るので、この説明を毎回代わりにやってくれるのが前提ファイル |
| Skills(スキル) — その作業を頼まれたときだけ本文が読み込まれる手順書。今日の主役 | 棚に並べた業務別の手順書。特定の業務を行うときだけ開く。普段は「棚のどこにあるか」だけ知っていればよい |
ここからは実物で進めます。前回のプロンプトのコツ#1「アイデア出しは30個と数で頼む」を運営がスキル化した brainstorming スキルを全員で使います。まず中身を見て(§1.2)、次に自分で使います(§1.3)。前回は5行のプロンプトを書いて出した結果が、今日は一言で出ることを確かめてください。
§1.2スキルの中身 — 正体はテキストファイル1枚
フォルダに入った1枚のテキストファイル(SKILL.md)が本体です。書いてあるのは3つ——名前、説明(何を・いつ使うか)、手順。手順の中身は前回のコツ#1(量+切り口+「出す」と「選ぶ」を分ける)そのもので、冒頭に「目的」の段落があるのはさっきのプロンプトのコツ#2の実践です。
§1.3チャットで一言、使ってみる
- 1上部のタブは「Home」のまま(Code タブは使いません)
- 2入力欄の下のモード切替を「チャット」にする
- 3プロンプトを一言だけ打って送信する
/brainstorming と打ってスキルを選び、そのまま続けて同じプロンプトを送ってください。明示的に呼べば、必ずスキルの手順で動きます。- 一言のプロンプトで、前回5行かけた「アフター」と同じ形式(30個・3つの切り口)の出力が出た
- 入力欄で
/を打つと、スキル一覧に brainstorming が表示される
§1.3bつまずいたときの確認ポイント
- A入力欄に
/を打っても brainstorming が出てこない → 画面左下のアカウントが IFTC(Team)になっているか確認してください(個人用 Free に切り替わっていると組織スキルは出ません)。サイドバーの「カスタマイズ」→「スキル」の一覧に「brainstorming(作成者: あなたの管理者)」があるかも確認できます。それでも出なければ挙手してください - B出力が30個・3つの切り口の形にならない → スキルが発動していません。ステップ2の明示呼び出し(
/brainstorming)で続行してください
- スキルの正体はただの手順書(テキストファイル1枚)——手順を日本語で書ければ、プログラミングの知識なしで作れます
- 呼び出しは一言——前回5行かけた指示が短くなる、これがスキル化の価値です
- 手順書は使うときだけ読み込まれます(§4.1 の伏線です)
この「一度教えて、あとは再利用」を業務全体に広げた例: 楽天は社内手順どおりの管理会計レポート作成を、スキルで丸1日→約1時間に短縮しています(Anthropic 公式ブログ)。
講師デモ — スキル:会話で作る・自動で効く Cowork
8分さっき使ったスキルを、今度は作る側に回ります。Cowork では会話だけで作れます。
題材は「打合せメモ→議事録の整形」です。会議のたびに発生する、繰り返し作業の定番です。
/ から明示的に呼ぶこともできます)。
デモで使うファイルです(架空の会社の会議データ)。あとで同じ手順を自分でなぞれます。
スキル作成の材料: mojiokoshi-01.txt(週次定例会の文字起こし)/
できたスキルを適用する別のメモ: memo-02.txt(打合せの走り書きメモ)
- ファイルを書かなくても、会話だけでスキル(SKILL.md)が作れること
- 作成と登録が別ステップであること——セッション内では登録までは行われず、「カスタマイズ」→「スキル」への zip アップロードで有効になります(ハンズオンで同じ手順をなぞります)
- 明示的に呼ばなくても自動で効くこと——説明文の「いつ使うか」が判断材料です
出典: How to create a skill with Claude through conversation(公式チュートリアル) / Use skills in Claude(公式ヘルプ)
コース別ハンズオン
30分スキルを1つ、自分の手で作って使います。プロンプト例(作る用・使う用)は配布データの README.txt(本文の開閉ブロックにも同じ内容があります)を見ながらで構いません。Claude Code か Cowork か、自分のコースのブロックに進んでください。今日の成功条件はどちらのコースも同じ——「作ったスキルが、短いプロンプトで発動する」です。
§3.1スキルを作って使う Claude Code
- Claude Code にサインインできている(デスクトップアプリの「Code」タブ/VS Code 拡張のどちらでもOK)
- 配布データをダウンロードしてある(下の「配布データ」参照。解凍はステップ1で行います)
code-skill-practice-set.zip をダウンロードしてください。お題ごとのフォルダ(odai1〜odai3)に、観点・様式とスキルの入力に使うファイルが入っています(すべて架空データ)。中身の対応表と、お題ごとのプロンプト例(スキルを作る用・使う用)は同梱の README.txt にあります。
課題は「繰り返し作業を1つスキルにして、使ってみる」です。§1 では出来合いのスキルを使いました——今度は作る側を一周します。プロンプトは自分のことばで頼んでも、README.txt のプロンプト例を見ながらでも構いません(自分で書くときはプロンプトのコツ#2がヒントです)。
odai1-review)を作業フォルダとして開きます。.claude/skills/ に作って」と頼みます(プロンプト例は README.txt)。確実なのは、一度長い指示で作業を実行してから「いまの手順をスキルにして」と頼む方法です(実際に動いた手順が手順書になります)。置き場所は .claude/skills/名前/SKILL.md(フォルダ名がそのまま呼び出しコマンド名になります)。.claude/skills/名前/SKILL.md をエディタで開き、description に「何を・いつ使うスキルか」が入っているか、手順が意図どおりかを確認します(足りなければ直接追記して構いません)。確認したら新しいセッションを立ち上げます——作ったスキルは、新しいセッションでないと読み込まれません。/skills の一覧に出ていれば準備完了です。/スキル名 で明示的に呼んでください。気になった点があれば SKILL.md に追記すれば、その場で直せます。- 1. コードレビュー観点スキル【最小構成】 — 観点リスト(
odai1-review/review-checklist.md)の観点を SKILL.md の本文に書き込む型。入力はtarget-01/のソース(target-02/はもう一度試す用)。品質を一定に保てる推しのお題 - 2. 障害報告書テンプレスキル【様式ファイルつき】 — 様式(
template-incident-report.md)をスキルのフォルダに同梱して参照させる型。入力はログ+担当者メモ(incident-01。もう1件分あり)。長い手順を毎回書かずに済む - 3. テストデータ生成スキル【最小構成】 — 項目定義書(
odai3-testdata/item-def-01.md)から正常系/異常系のテストデータを生成(item-def-02.mdはもう一度試す用)。繰り返し使う定型作業
配布データの代わりに、自分の題材や Claude に作らせたデータを使っても構いません。機密情報・個人情報は使わないでください。
README.txt と同じ内容(ファイル対応とプロンプト例)をここにも載せています。お題をクリックすると開きます。
READMEお題1 コードレビュースキル【最小構成】 — プロンプト例
観点: review-checklist.md(レビュー観点5つ)/入力: target-01/(target-02/ はもう一度試す用。意図的な問題を複数含みます)
READMEお題2 障害報告書作成スキル【様式ファイルつき】 — プロンプト例
様式: template-incident-report.md/入力: incident-01-log.txt + incident-01-memo.txt(incident-02 の2ファイルはもう一度試す用)
READMEお題3 テストデータ生成スキル【最小構成】 — プロンプト例
入力: item-def-01.md(会員マスタ項目定義書。item-def-02.md はもう一度試す用で、会員IDを会員マスタと整合させる制約があります)
/skillsの一覧に、作ったスキルが表示された- 短いプロンプトでスキルが発動し、観点・様式どおりの出力が出た
§3.1bつまずいたときの確認ポイント
- Aスキルが呼べない → まず新しいセッションかを確認(作成前から開いていたセッションでは読み込まれません)。次にフォルダ名=コマンド名です。
.claude/skills/名前/SKILL.mdの置き場所と綴りを確認してください - B自動で発動しない →
descriptionに「いつ使うか」が書けているか確認。「〇〇のときに使う」まで書くと Claude が判断できます - C作ったスキルが認識されているか分からない →
/skillsと打つと、いま使えるスキルの一覧が確認できます
§3.2スキルを作って使う Cowork
- Claude デスクトップアプリの Home 画面で、入力欄のモードを「Cowork」に切り替えられる
- 配布データをダウンロードしてある(下の「配布データ」参照。解凍はステップ1で行います)
cowork-skill-practice-set.zip をダウンロードしてください。お題ごとのフォルダ(odai1〜odai3)に、様式・観点のファイルとスキルの入力に使うファイルが入っています。中身の対応表と、お題ごとのプロンプト例(スキルを作る用・使う用)は同梱の README.txt にあります。
課題は「繰り返し作業を1つスキルにして、使ってみる」です。§1 では出来合いのスキルを使いました——今度は会話で作る側を一周します。プロンプトは自分のことばで頼んでも、README.txt のプロンプト例を見ながらでも構いません。
odai1-seminar-report)を指定します。
- 1入力欄の下のモード切替を「Cowork」にする
- 2フォルダ選択で、解凍してできたお題のフォルダを指定する
seminar-report)を右クリックし、次の順にたどります。
- 1サイドバーの「カスタマイズ」→ 設定画面の「スキル」を開く
- 2「追加」から、作ったスキルの zip をアップロードする
- 3アップロードしたスキルが「作成者: あなた」として一覧に並べば登録完了(§1 で使った brainstorming は「作成者: あなたの管理者」=運営の共有分です)
- 1. セミナー参加レポートスキル【様式ファイルつき】 — 社内様式(
odai1-seminar-report/report-format.md)を踏まえたスキルを作り、先週の第2回ワークショップの文字起こし(session02-mojiokoshi.vtt)を参加レポートに整える。研修・セミナーのたびに発生する定番の推しお題 - 2. アンケート結果集計スキル【最小構成】 — 集計の方針を会話だけで決めて作る型。第2回ふりかえりアンケートの回答CSV(
odai2-survey/reflection-session02-masked.csv)を、選択式設問の集計と自由記述の分類にまとめる。運営が毎回行っている実作業そのもの - 3. ドキュメントレビュースキル【様式ファイルつき】 — レビュー観点と社内表記ルール(
odai3-docreview/review-kanten.md)を踏まえたスキルで、通知文ドラフト(oshirase-draft-01.txt)を点検・指摘(tejunsho-draft-02.txtはもう一度試す用)。通知文・手順書・報告書などどんな文書にも繰り返し使える
配布データの代わりに、自分の題材や Cowork に作らせたデータを使っても構いません。機密情報・個人情報は使わないでください。
README.txt と同じ内容(ファイル対応とプロンプト例)をここにも載せています。お題をクリックすると開きます。
READMEお題1 セミナー参加レポートスキル【様式ファイルつき】 — プロンプト例
様式: report-format.md/入力: session02-mojiokoshi.vtt(第2回の文字起こし。タイムスタンプや言い直し・雑談を含む WebVTT 形式)
READMEお題2 アンケート結果集計スキル【最小構成】 — プロンプト例
入力: reflection-session02-masked.csv(第2回ふりかえりアンケートの回答・66件・匿名)
READMEお題3 文書レビュースキル【様式ファイルつき】 — プロンプト例
観点: review-kanten.md(レビュー観点と社内表記ルール)/入力: oshirase-draft-01.txt(tejunsho-draft-02.txt はもう一度試す用。それぞれ意図的な問題点を8個以上含みます)
- 「カスタマイズ」→「スキル」の一覧に、作ったスキルが「作成者: あなた」として並んだ
- 短いプロンプトでスキルが適用され、様式・観点どおりの出力が出た
§3.2bつまずいたときの確認ポイント
- A作ったはずのスキルが「カスタマイズ」→「スキル」の一覧にない → セッション内で作っただけでは登録されません。ステップ3(zip 化 →「追加」からアップロード)を行ってください
- Bスキルが発動しない → まず新しいセッションかを確認(作成に使ったセッションでは読み込まれません)。次に説明文に「いつ使うか」が書けているか確認。「〇〇のときに使う」まで書くと自動で適用されやすくなります
- C作業が途中で止まる → Cowork の作業中はアプリを閉じない・PCをスリープさせないでください(前回と同じ注意です)
種明かし — コンテキストの「選択」 共通
6分§1.1 のたとえ(初日のプロジェクト説明と、棚の手順書)で押さえた考え方を、ここでは Anthropic の公式ドキュメントの記述で一段掘り下げます。今日作ったスキルが「なぜ・どう動いたのか」の種明かしです。
§4.1スキルの仕組み — 構造・読み込み・発動条件
公式ドキュメントによれば、スキルの実体は SKILL.md を含むフォルダです。SKILL.md は冒頭のメタ情報(name と description)と本文の手順で構成され、同じフォルダに様式・テンプレート・スクリプトなどの同梱ファイルを置けます。ハンズオンの【様式ファイルつき】のお題は、この同梱型でした。
この手順書は、公式がプログレッシブ・ディスクロージャー(段階的開示)と呼ぶ方式で、3段階に分けて読み込まれます。イメージはこうです——コンテキスト(作業記憶)に常駐するのは L1 だけで、残りは必要になった段階で開かれます。
SKILL.md の冒頭数行
スキル1つあたり約100トークン。Claude は「棚のどこに何があるか」を常に知っている
頼みごとが説明文に合うと、手順が読み込まれる
様式・テンプレート・スクリプト
スキルが「自動で効く」仕組みも L1 にあります。名前と説明文は常時コンテキストにあり、頼みごとが説明文に合致すると Claude が自分で判断して本文を開きます。公式ドキュメントが説明文に「何をするか」と「いつ使うべきか」の両方を書くよう求めているのはこのためで、ハンズオンで description にこだわった理由でもあります。
では「事実」と「手順」、どちらを前提ファイルに、どちらをスキルに入れるか。公式の使い分けはこうです。
- A事実は CLAUDE.md、手順はスキルへ。公式ドキュメントは「ある項目が複数ステップの手順なら、スキルに移すこと」としています("If an entry is a multi-step procedure ... move it to a skill")
- BCLAUDE.md は200行以内が目安。膨らんできたら、詳しい手順はスキルへ切り出します
- C「同じプロンプトを3回貼っていたら、スキルにする」——これが、スキル化を考えるわかりやすい合図です
- 登録・管理はサイドバーの「カスタマイズ」→「スキル」から。セッション内で作った SKILL.md は、zip にしてここからアップロードして初めて有効になります(セッション内では登録までは行われません)
- スキルは場面に合えば自動で適用されます(明示的に呼び出さなくてもよい)
- スキルには Personal / Shared / Organization の3階層があり、共有範囲を選べます(組織全体への配布はオーナーのみ)
- デモの「話しかけるだけでスキルができる」は、skill-creator という公式スキルが対応しています——スキルを作る作業自体もスキルでできている、という入れ子構造です
出典: Use skills in Claude(公式ヘルプ) / Provision and manage skills(公式ヘルプ) / How to create a skill with Claude through conversation(公式チュートリアル)。
§4.2今日の道具立ての全体像
第2回の「コンテキストの中身」の図に、今日の内容を重ねるとこうなります。裏テーマは「コンテキストの選択」——何を見せるかを設計する。これが使いこなしの中級編です。
| 問題 | 答え | Claude Code | Cowork |
|---|---|---|---|
| 毎回同じ説明をしている | 常に読ませる | CLAUDE.md | プロジェクトの指示・メモリ |
| たまに使う手順が長い | 必要なときだけ読ませる | Skills(/コマンド) |
Skills |
持ち帰り演習
次回まで次回(7/23)までの宿題です。スキル化とは、自分の頭の中にしかなかった手順を書き出すことです。書き出した手順書は自分の資産になり、共有すればチームの資産になります。今日の考え方を、自分の業務の定型作業で1回実践してください。
- Anthropic 社内では、従業員が日報・レビュー・デプロイなどの数百個のスキルを運用しています。中央の管理組織はなく、個人が作り、Slack で共有し、定着したものが組織の道具に昇格する方式です(公式ブログ)
- 日本でも「業務の6作業をスキル化したら、自分が繰り返していた作業が見えるようになった」という実践報告があります(いえらぶGROUP役員の体験記・Qiita)。スキル化の副産物は、自分の仕事の棚卸しです
自分が繰り返しやっている作業を1つスキル化し、2回以上呼び出して「手順の再利用」の効果を体感することです。
自分の定型作業のスキルが1つ登録されていて、2回目の呼び出しが1回目より明らかに短い指示で済んだ——この体験が得られれば成功です。
§5.1つまずいたときの確認ポイント
- Aスキル化する作業が思いつかない → 「先週もやった気がする作業」を探してください。メールの定型返信の下書き、会議メモの整形、ファイルの命名整理などが定番です
- Bスキルが呼び出せない → 登録した場所と名前を確認してください(ハンズオンの手順を再確認)。新しいセッションで試すことも忘れずに
- Cスキルどおりに動かない → 手順書が曖昧なのが典型原因です。「いい感じに」ではなく、入力・手順・出力形式を具体的に書き直してみてください
クロージング
§6.1今日の持ち帰りポイント
リファレンス
当日は触れませんが、もう一歩知りたくなったとき用のメモです。