Session 05 — 2026-07-30 | ミニAI駆動開発の実践・総括(最終回)

工程を分け、成果物をつないで、HPを1枚作り切る

題材は自社HPのリニューアルです。HP制作を6工程に分け、全6工程を自分のPCで手を動かして回します。工程1〜3(現状調査・理解/目的設定/再調査)は運営の深瀬のリードでみんなで進み、工程4〜6(要件・情報設計/デザイン定義/実装)は自分のペースで進めます。

最終回は全員 Claude Code を使います(デスクトップアプリの「Code」タブ/VS Code拡張)。工程ごとにファイルを作って次の工程へ渡していく進め方のため、今日はツールを1つに揃えます。これまで Cowork で参加していた方も、今日は Code タブで操作してください。

今日のゴールは、6工程をAIと一緒に回し、自社HPのトップページを1枚作り切って、この「型」を持ち帰ることです。

今日のタイムスケジュール

時刻
内容
主役
18:00–18:05
はじめに(前回のふりかえり・今日の全体像)
INTRODUCTION
講師
18:05–18:30
ハンズオン:工程1→2→3をみんなで回す(現状調査・理解/目的設定/再調査)
HANDS-ON
深瀬・みなさん
18:30–19:00
ハンズオン:工程4→5→6を回してトップページを作り切る
HANDS-ON
みなさん
19:00–19:05
実例:他部署向けデータ分析基盤を1人・1週間で構築
CASE
講師
19:05–19:10
卒業課題:同窓会(8/20)に向けて育てる
EXERCISE
講師
19:10–19:25
総括・運営からのお知らせ・アンケート
CLOSE
講師・運営
19:30–
懇親会(同会場)
AFTER
みなさん
INTRO0

はじめに・今日の全体像

5分

§0.1前回(第4回=外部連携)のふりかえり

第4回は「チャットで頼むと、外の業務システムが動く」——MCP・コネクタ・プラグインの回でした。要点は3つです。

1
MCP=Claude に道具を後付けするしくみ。わくわく精算のハンズオンで、チャットからの経費申請・承認までを体験しました。
2
データの行き先は系統で違う。ローカルMCPはツールが手元のPCで実行され、リモートMCP(コネクタ)は接続先事業者のクラウドまでデータが届きます。どちらでも、会話に載せた内容は推論のため Claude のクラウドに送られます。
3
つなぐ先が広がるほど、4観点で確認する。承認・接続先の信頼性・データの行き先・APIキー管理。実行前の確認を読む習慣が土台です。

§0.2前回の質問にお答えします

第4回のふりかえりアンケート(回答51名)に寄せられた質問にお答えします。当日は主なものだけ触れます——残りはこの資料で読めます。

Q.APIキーは「公式から入手」とのことでしたが、公式のどこを探せばよいですか?すぐ見つかるものですか?

そのサービスの管理画面(設定)の中です。メニュー名は「外部連携」「API」「開発者向け」「アクセストークン」あたりが定番で、ハンズオンのわくわく精算でも設定ページの「外部連携用APIキー」にありました——あの配置が実サービスの縮図です。

  • 見つからないときは「サービス名 APIキー 発行」でそのサービスの公式ヘルプを検索します
  • 実サービスでは、発行に管理者権限が必要なことが多く、個人アカウントの画面には出ないことがあります(すぐ見つかるかはサービス次第です)
  • 発行画面に出る権限の範囲(読み取りのみ/書き込み可)と有効期限も、キーの文字列と同じくらい重要な情報です
Q.「API Error: 400 tools.9.custom.input_schema.properties: Property keys should match pattern …」が出て、ハンズオンが完走できませんでした

このエラーは「そのとき有効だったツールのうち1つ(tools.9=10番目)の入力項目名が命名規則(半角英数字など)に合っていない」という意味です。配布した「わくわく精算(研修用)」のツールは8個で、項目名はすべて規則に合わせて作ってあるため、同時に有効になっていた別の拡張機能の定義が原因の可能性が高いです。

  • 対処: わくわく精算以外の拡張機能をいったんすべてオフにして再送信します。通ったら、オフにしたものを1つずつ有効に戻し、エラーが再発した拡張機能が原因です
  • 自作・入手した拡張機能の場合は、ツールの入力項目名を半角英数字(a-z A-Z 0-9 _ . -)に直すと解消します
Q.チャットモードと Cowork モードの見分けがつかず、違うモードで実行してエラーや違う結果になりました

チャットと Cowork は同じホーム画面の入力欄で切り替える設計のため、画面の色や形では判別できません。見る場所は1つです——送信する前に、入力欄のモード表示(「チャット」/「Cowork」)を確認します

  • 送信後の見分け方: Cowork は頼みごとがタスク(作業)として実行され、作業計画と進捗の画面が開きます。普通の会話の応答が返ってくるだけならチャットです
  • 間違えて送ったら: モードを切り替えて、同じ依頼を送り直します(第4回のハンズオンはチャット側が前提でした)
モード切替の位置: 第2回資料 DEMO 2 — Cowork
Q.リモートMCPは、結局業務データが外部に出るのではないですか?個人の判断で使ってよいのでしょうか

6名の方から同趣旨の質問をいただきました。事実の整理と、判断の枠組みを分けてお答えします。

  • データの行き先(事実): はい、リモートMCP(コネクタ)では接続先事業者のクラウドまでデータが届きます。だからこそ第4回の4観点に「接続先の信頼性」「データの行き先」が入っています。なお、ローカルMCPでも会話に載せた内容(ツールの実行結果を含む)は推論のため Claude のクラウドに送られる点は同じです
  • 個人の判断で追加できるか(しくみ): 会社の Team プランでは、コネクタの追加は管理者のみができる設定です。管理者が承認していないコネクタを個人が業務アカウントに足すことは、そもそもできません
  • 使ってよいかの判断(ルール): 個別のSaaS連携(M365 等)を業務で使ってよいかの全社一律ルールはなく、各自のプロジェクトで判断します。判断材料は上の2点(データの行き先・追加は管理者経由)と、第3回で案内した ISMS の情報資産の取り扱い区分です。扱うデータがプロジェクトの管理対象なら、プロジェクトの責任者に確認してから使います
Q.MCP連携の実行結果は、どこまで信用してよいですか?人間の確認はどこに入れるべきでしょうか

確認を入れる場所は実行前と実行後の2か所です。

  • 実行前: 承認ダイアログで「どのツールに・何を渡すか」を読んでから許可します(第2回からの習慣です)
  • 実行後: 書き込み系の操作(申請・承認・登録)は、対象システムの画面で結果を確かめます

とくに判断を伴う操作は人間の最終確認を前提にします。前回のアンケートには「Sonnet が本来止めるべき申請を承認してしまった」という実例の報告がありました(→ §0.3 コツ②)。判断の質はモデルによっても変わります——「AIがやったから正しい」で動かない、は外部連携でも同じです。

Q.Backlog・M365・Salesforce と連携すると何ができますか?何から調べればよいでしょうか

調べる順序はこの3ステップです。

  • ① 公式提供があるか調べる — 「サービス名 MCP」でそのサービスの公式ドキュメント・公式ブログを検索します。公式提供でない野良のMCPサーバーは「接続先の信頼性」の観点で慎重に扱います
  • ② コネクタ一覧を見る — Claude アプリの「設定 > コネクタ」に追加できるコネクタの一覧があります(Team プランでは追加は管理者経由です)
  • ③ つないだら Claude に聞く — 接続後に「このコネクタで何ができますか」と聞くと、使えるツールの一覧と用途を答えます。まず読み取り系(検索・参照)から試し、書き込み系は4観点の確認を通してからにします
補足 — MCPをおさらいしたい方へ(解説動画)

2026年7月公開の解説動画「最新技術MCPの正体は、「すごい説明書」でした。」(ゆるコンピュータ科学ラジオ)が、MCP=AIのためのすごい説明書という切り口で仕組みを説明しています。第4回の内容を別の角度からおさらいできます。

§0.3みんなのコツ — 前回アンケートから

第4回アンケートの「コツ・発見」欄と自由記述から、4つ紹介します(匿名・要約)。

コツ① 「確認せよ」は人ではなく、しくみ側に書く

わくわく精算のMCPには「規定を確認すること」という指示が組み込まれています。人間は慣れてくると確認をスキップして誤申請・誤承認を生むが、その確認をしくみ側で強制できている——という読みの報告です。スキルにも同じ発想が使えます。毎回守らせたいチェックは、頼むたびに書くのではなく手順書(SKILL.md やツールの定義)側に書き込みます

コツ② モデル選びが「判断の質」を左右する

「Sonnet は EXP-019 を勝手に承認しやがりました」——本来規定違反で止めるべき申請を、軽量モデルが通してしまった実例の報告です。第3回の「同じプロンプトでもモデルで出力が変わる」という報告の続報にあたります。作業の難易度・判断の重さに合わせてモデルを選び、判断を伴う操作ほど上位モデル+人間の最終確認で臨みます。

コツ③ 拡張機能がAPIキーを読み込まないときは、オフ→オン→再送信

APIキーを設定したのに認証が通らないとき、拡張機能を一度オフ→オンに切り替えて再送信したら読み込まれた——という報告です。第4回資料のQ&Aに「要実機確認」として載せていた回避策が、参加者の実地検証で裏づけられました。当日この症状で完走できなかった方は、この手順で復習できます。

コツ④ 「APIキーを貼ると怒られる」を、実際に試して確かめた

講義で「APIキーをチャットに貼ると Claude にたしなめられる」と説明したのを受けて、実際に送って検証した報告です。結果は本当に拒否され、「チャットに貼った認証情報は履歴に残り得るため良くない」という説明が返ってきました。講義の主張を鵜呑みにせず自分の環境で確かめる——このワークショップが勧めてきた姿勢そのものです。

このほか、深瀬の Claude × Codex の二刀流には6名の方が反応していました。このあとの懇親会で、ぜひ本人に聞いてみてください。

§0.4今日の全体像 — HP実装の6工程

実務のWeb制作は、調査から実装まで数週間かけて進みます。今日はその流れを90分のミニチュア版に縮めて、6工程すべてを自分のPCで回します。工程1〜3(HANDS-ON 1)は深瀬のリードでみんなで進み、その成果物をそのまま工程4の入力として渡して、工程4〜6(HANDS-ON 2)は自分のペースで進めます。

1
現状調査・理解HANDS-ON 1 / STEP 1
深瀬のリードでみんなで進みます。自社を調査し、現状を理解します。
2
目的設定HANDS-ON 1 / STEP 2
どんなHPを作るかの大方針を、案を出させたうえで自分で1つ選んで決めます。
3
再調査HANDS-ON 1 / STEP 3
大方針の実現に必要な情報を調べ直し、HPに使う画像も集めて、成果物を CLAUDE.md にまとめます。
4
要件・情報設計HANDS-ON 2 / STEP 4
工程1〜3の資料を読ませ、要件定義・サイトマップ・トップページの情報設計を requirements.md にまとめます。
5
デザイン定義HANDS-ON 2 / STEP 5
requirements.md をもとに方向性を3案出させ、1案を style-guide.md として確定します。
6
実装HANDS-ON 2 / STEP 6
2つのドキュメントと工程3で集めた画像を使って index.html を実装させ、ブラウザで見て直します。
前工程の成果物(ドキュメント)を、次工程のインプットとして渡す。これがAI駆動開発の型です——第3回「コンテキスト設計」の集大成にあたります。
HANDS-ON1

工程1→2→3をみんなで回す — 現状調査・理解/目的設定/再調査 Claude Code

25分

深瀬が進行します。実際の自社HPを見ながら、みなさんも自分のPCで同じ手順を進めてください。ここで各自の作業用フォルダに作る資料が、HANDS-ON 2 でそのまま工程4の入力になります

AI駆動開発でもっとも大事なのは、開発する前にドキュメントをしっかりそろえることです。いきなり「作って」と頼まず、判断の材料になる資料を先に作ります。このパートの完成形は、HPの大方針と、その実現に必要な情報・画像がある程度そろった状態です(あわせて CLAUDE.md も作ります → STEP 3)。
HANDS-ON — 自分のPCで操作してください

使うもの: Claude Code(デスクトップアプリの「Code」タブ/VS Code拡張)。今日の作業用フォルダを1つ新しく作り、そのフォルダを開いた状態で始めます(例: C:\Users\<ユーザー名>\Documents\hp-workshop)。

Code タブを初めて使う方へ: Windows では Git for Windows のインストールが必要です。未導入の場合は git-scm.com から入手し、インストール後にアプリを再起動してください。手が止まったらフロアのサポートに声をかけてください。

権限モード: このパートの作業は調査(読み取り)が中心のため、「自動」にして進めます(実行のたびの確認を省きます)。モデル・権限モードはどちらもチャット欄で切り替えます。

場面使うモデル理由
調査計画・方針を考えさせるOpus 5ここでの判断の質が後の全工程に響くため、性能のいいモデルで考えさせます
手分けして大量に調べさせるSonnet 5決まった調査項目を並行して埋める作業は、速いモデルで十分です
1
工程1 現状調査・理解 — 自社を調べさせる(10分)
いきなり調査させません。「どんなデータを調査するのか」「調査結果をどんなファイル構成で保存させるのか」を先に考えさせます。
プロンプト例①(調査計画を立てさせる)— Opus 5
https://www.iftc.co.jp/ 上記は当社のHPです。このHPを新規に作成しようとしています。 新規作成にあたり、当社がどういう企業なのか、口コミや競合他社を調査したいです。 そのため、Claudeに調査を依頼する前提で、調査項目と、調査結果を保存するファイル構成を考えてください。 なお、調査対象はインターネット上で確認できる公開情報のみとします。 まだ実際の調査はせず、調査項目とファイル構成だけを出力してください。
計画に納得したら、調査を実行させます。手分けしやすい調査はサブエージェントに並行でやらせます。ここでモデルを Sonnet 5 に切り替えます。
プロンプト例②(調査を実行させる)— Sonnet 5
サブエージェントで手分けして調査してください。 各調査結果には、出典URLを必ず記載してください。
期待される結果: 作業用フォルダに調査結果の md ファイルが複数でき、それぞれに出典URLが書かれている。ここで全部読む必要はありません。データの妥当性の確認も、この時点ではしません(STEP 3 で行います)。

つまずいたときの確認ポイント

  • 計画を出さずにいきなり調査を始めた場合 → いったん止めて「調査はまだしないでください。調査項目とファイル構成だけを出してください」と指示し直します
  • ファイルがどこにできたか分からない場合 → 「作成したファイルの一覧を、パス付きで教えてください」と聞きます
2
工程2 目的設定 — 大方針を自分で決める(10分)
何のために作るのか・何を打ち出すのかを人間が決める、6工程でもっとも大事な工程です。モデルを Opus 5 に戻します。
プロンプト例③(大方針の案を出させる)— Opus 5
フォルダ内の調査結果を踏まえて、サイトを見るターゲット層と、打ち出すキャッチコピー・テーマを考えたいです。 当社の魅力が最大限に伝わるようにしたいです。 10パターンくらい考えて、それぞれなぜそれにしたのかの理由も教えてください。
出てきた案から自分で1つ選び、ドキュメントとして固定します。
プロンプト例④(決めた方針をドキュメント化する)— Opus 5
「◯◯(選んだ案)」にします。 この内容を詳しく md ファイルにまとめてください。
できあがったファイルは自分で読み、必要に応じて大幅に修正します。方針はこの後の全工程の土台になるため、遠慮なく手を入れます。不明点は Claude に確認しながら進めます。
期待される結果: 作業用フォルダに方針の md ファイルができ、ターゲット層・キャッチコピー・テーマとその理由が書かれている。ファイル名は次のSTEPで指定するので控えておきます

つまずいたときの確認ポイント

  • 10案が似通っていて選べない場合 → 「ターゲット層を案ごとに変えて、違いがはっきりするように出し直してください」と指示します
  • 調査結果を読まず一般論が出てきた場合 → 「まずフォルダ内の調査結果を読んでから、その内容にもとづいて出し直してください」と指示します
3
工程3 再調査 — 不足を埋め、画像を集め、CLAUDE.md にまとめる(5分)
決めた大方針に対して調査に不足がないか、またすでに調査したデータに間違いがないかを確認します。HPに使う画像も、ここで集めておきます(工程6の実装で使います)。AIへの指示は、内容を口頭で要約し直すのではなく元のドキュメントとセットで渡します——チャット欄で @ のあとにファイル名を入力すると、ファイルを明確に指定できます。
プロンプト例⑤(不足と要検証を洗い出させる)— Opus 5
@◯◯.md(STEP 2 で作った方針ファイルを指定) の方針で進めることが決まりました。 この方針で進めるにあたって、他に調査すべきものがないか、 すでに調査したもののなかで検証が必要なものがないか教えてください。
プロンプト例⑥(調査・検証と画像の取得を実行させる)— Sonnet 5
サブエージェントで手分けして調査・検証してください。 あわせて、HPに使う画像も集めてください。 当社の公式サイトに掲載されている画像(ロゴ・外観写真など)をダウンロードし、 作業用フォルダの images フォルダに保存してください。 どの画像が何なのか、取得元URLとあわせて images/README.md に一覧で記録してください。
画像は自社の公式サイトに載っているものに限ります。検索で出てきた他社サイトやフリー素材サイトの画像は、利用条件の確認が別途必要になるため、この演習では使いません。
最後に、ここまでの成果物を別セッションでも引き継げるように CLAUDE.md にまとめさせます(CLAUDE.md の仕組みは第3回で扱いました)。モデルを Opus 5 に戻します。
プロンプト例⑦(CLAUDE.md に引き継ぐ)— Opus 5
いままでの調査結果や方針などを別セッションでも引き継げるように、CLAUDE.md を作成してください。 方針・決定事項の要点と、どのファイルに何が書いてあるかの一覧をまとめ、 調査の詳細は各 md ファイルへの参照にしてください。
期待される結果: 作業用フォルダに CLAUDE.mdimages フォルダができ、CLAUDE.md に方針の要点とファイル一覧、images に画像と取得元の一覧(README.md)が入っている。この状態が HANDS-ON 2 の出発点です
ここでセッションを分けます

CLAUDE.md ができたら、この会話をいったん終え、HANDS-ON 2 は新しいセッションで始めますClaude Code/clear と入力すると、同じフォルダのまま会話だけをリセットできます(アプリ側で新しい会話を開いても構いません)。
ここまでの調査で会話には大量の情報が溜まっています。それを引き継ぐために作ったのが CLAUDE.md です——新しいセッションでも自動で読み込まれるので、工程4は「何も知らない状態から始まる」わけではありません。この身軽さの効果は、次の STEP 4 で確かめます。

つまずいたときの確認ポイント

  • @ でファイル名が候補に出ない場合 → ファイル名をそのまま本文に書いても伝わります(「hp-policy.md の方針で進めます」)
  • 画像が1枚も取得できなかった場合 → そのまま先へ進みます。工程6では、画像がない部分をCSSのダミー表示で代替できます(→ STEP 6)
  • 時間が足りない場合 → プロンプト例⑤⑥は飛ばし、⑦の CLAUDE.md だけは作ります。HANDS-ON 2 はここまでの資料があれば始められます
着目ポイント
  • ここで作る資料一式は、このあと工程4でそのままClaudeに渡す入力になります。「どの記述が要件の材料になるか」を考えながら進めてください
  • 目的設定(工程2)は、工程5のデザイン判断の基準になります。「誰に何を伝えるHPにするか」が決まっていないと、デザインの3案を比べる軸が持てません
  • 事実として書かれている部分と、担当者の解釈として書かれている部分を区別しておきます。工程4でAIが両者を混ぜて要件化することがあり、そこが人間の確認どころになります
HANDS-ON2

工程4→5→6を回す — トップページを作り切る Claude Code

30分

HANDS-ON 1 と同じ作業用フォルダを、新しいセッションで開いて始めます/clear で会話だけリセット、またはアプリで新しい会話を開きます)。フォルダが同じであれば CLAUDE.md は自動で読み込まれます。権限モードは「自動」のままにします

モデルは HANDS-ON 1 の使い分けを続けます——判断が要る工程4・5は Opus 5 のまま、確定した設計を実装に流し込む工程6は Sonnet 5 に切り替えます(15分で「見て直す」の往復を回すため、速さを優先します)。

この演習は開発体験のための練習であり、実際のHP改修の提案・決定ではありません。
HANDS-ON — 自分のPCで操作してください
4
工程4 要件・情報設計 — requirements.md を作る(10分)
新しいセッションから始めます(→ STEP 3 の最後)。CLAUDE.md は自動で読み込まれるので、そこに書かれたファイル一覧を手がかりに、Claude 自身に「必要なファイルだけ」を選ばせます——調査結果を全部読ませると、それだけでコンテキストが埋まってしまうためです。あわせて技術的な前提も先に伝えます。伝えないと、サーバー構成や公開手順まで要件に書かれ、今日の90分では扱えない分量になります。
プロンプト例⑧(工程4を頼む)— Opus 5
CLAUDE.md を読んで、これまでの経緯を把握してください。 そのうえで、自社HPを新規に作成するための「要件定義」「サイトマップ」「トップページの情報設計」を requirements.md というファイルにまとめてください。 作成にあたって必要な資料は、CLAUDE.md のファイル一覧から自分で選んで読んでください。 すべてを読む必要はありません。 技術的な前提は次のとおりです。 ・静的な HTML / CSS / JavaScript だけで作ります ・外部のパッケージやライブラリは使いません ・ローカル環境でファイルを開いて表示できれば完成とします ・そのため、サーバー・ホスティング・ドメインなどインフラ面の要件定義は不要です 資料に書かれていないことは推測で埋めず、最後に「確認が必要な点」として列挙してください。
できあがった requirements.md自分で読み、違うと思う点を最低1つ見つけて指示し、直させます。作業はAI、判断は人間——この往復が工程4の本体です。
プロンプト例⑨(自分の判断を反映させる)— Opus 5
requirements.md を読みました。トップページの情報設計で、◯◯を◯番目に置くのは違うと思います。 △△を先に見せたいので、その順番に直してください。理由も requirements.md に1行で書き添えてください。
期待される結果: 作業用フォルダに requirements.md ができ、自分の指示が1か所以上反映されている。

つまずいたときの確認ポイント

  • CLAUDE.md を読んでいない様子の場合(前回の経緯を知らない返答が来る)→ 作業用フォルダが HANDS-ON 1 と同じか確認します。違うフォルダを開いていると読み込まれません
  • 資料を読まず、どの会社にも当てはまる一般論が出てきた場合 → 「まず CLAUDE.md のファイル一覧から必要な資料を読んでから、その内容にもとづいて書き直してください」と指示し直します
  • サーバー構成・CMS・公開手順などインフラの要件が書かれた場合 → 「静的なHTML/CSS/JavaScriptのみ・ローカルで表示できれば完成という前提なので、インフラ面の要件は削ってください」と指示します
  • ファイルの作成・上書きの確認が出た場合(権限モードが「自動」以外のときに出ます)→ 内容を読んでから許可します
5
工程5 デザイン定義 — style-guide.md を確定する(5分)
要件を踏まえたデザインの方向性を3案出させ、自分で1案を選んでドキュメントに固定します。
プロンプト例⑩(3案出させる)— Opus 5
requirements.md を読んでください。 このHPにふさわしいデザインの方向性を3案出してください。 各案について、配色・書体の雰囲気・写真の使い方・全体の佇まいを書いてください。 3案は狙いが重ならないようにしてください。
プロンプト例⑪(1案を選んで確定させる)— Opus 5
案2で進めます。案2の内容を style-guide.md として書き出してください。 配色は具体的な色コード、書体は Windows で使えるフォント名で指定してください。
期待される結果: 作業用フォルダに style-guide.md ができ、配色・書体・写真の扱い・全体の佇まいが書かれている。

つまずいたときの確認ポイント

  • 3案が似通っていて選べない場合 → 「想定する読み手を案ごとに変えて、違いがわかるように出し直してください」と指示します
6
工程6 実装 — index.html をブラウザで動かす(15分)
ここでモデルを Sonnet 5 に切り替え、2つのドキュメントを入力として渡してトップページを実装させます。
プロンプト例⑫(実装を頼む)— Sonnet 5
requirements.md と style-guide.md に従って、トップページを index.html として実装してください。 単一のHTMLファイルにまとめ、外部ライブラリは使わないでください。 写真は images フォルダのものを使ってください(images/README.md に一覧があります)。 足りない部分は、ダミー画像をCSSで代替してください。
できたらエクスプローラーで作業用フォルダを開き、index.html をダブルクリックしてブラウザで表示を確認します。気になる点を1つ伝えて直させる、を時間まで繰り返します。
プロンプト例⑬(見て直す)— Sonnet 5
ブラウザで見ました。ファーストビューに会社名しか出ていないので、 requirements.md に書いた「◯◯」のメッセージを見出しの下に入れてください。
期待される結果: ブラウザに自分のトップページが表示され、指示した修正が反映されている。

つまずいたときの確認ポイント

  • 画面が崩れる・真っ白になる場合 → 見た目やエラー内容をそのままClaudeに伝えて修正させます(「画面が真っ白です」「見出しと画像が重なっています」でも伝わります)
  • 画像が表示されず枠だけになる場合 → 「画像が表示されません」と伝えて直させます。index.html から見た画像のパス(images/◯◯.jpg)のずれが原因のことが多いです
  • ファイルが見つからない場合 → index.html が作業用フォルダの中にできているか確認します。別の場所に作られていたら「作業用フォルダの直下に置いてください」と指示します
今日はトップページ1枚までです。下層ページの追加と磨き込みは、8/20の同窓会までの各自ワークにします(→ EXERCISE 4)。
CASE3

実例 — 他部署向けデータ分析基盤を1人・1週間で構築

5分

今日の型が実務でどこまで通用するかの実例として、講師が直近で構築した社内プロジェクトを紹介します。他部署向けの Snowflake データ分析基盤を、データの取り込み→変換→ダッシュボードまで動く状態で作り、相手部署が自走できるようドキュメントごと引き渡したものです。構築は1人・1週間で完了しています(Git履歴: 7日間・45コミット)。

成果物の分量(実測)
成果物 分量
ドキュメント(設計書25本・検討メモ18本・議事録ほか) 122ファイル・13,653行(約147万字)
コード(SQL・Terraform・Python・YAML・PowerShell) 55ファイル・4,624行
AI用の作業手順書(スキル) 20本(引き渡し先が自走するためのもの)
AI用の前提ファイル(CLAUDE.md) 27個(全ディレクトリに配置)

§3.1今日の型と同じ構造でできている

1
壁打ち → 合意 → 記録 → 実装の順を運用ルールにした。設計判断は検討メモ18本(約3,500行)に残し、次の工程のインプットとして渡した——みなさんが requirements.md でやったことと同じです。
2
ワークフロー図を先に詰め切り、それをそのままスキルの仕様書にした。図のレビューと作り直しを20回以上重ねたあと、20本のスキルは短期間で書き上がった。前工程の品質が後工程の速度になります。
3
全自動にはしなかった。工程の境界に人のレビューゲートを置き、要件の解釈・個人情報の分類・実環境への適用は人間が判断する設計にした——作業はAI、判断は人間。
4
実環境への反映も Claude Code から行った。Snowflake CLI と適用スクリプトを整備し、DDLの適用からダッシュボードのデプロイまで Claude Code に指示してCLI経由で実行した。作るところだけでなく、実環境に届けるところまでAI駆動で回せます。

ワークフロー図・スキル一覧・コミット履歴の実物は当日投影します。

EXERCISE4

卒業課題 — 同窓会(8/20)に向けて育てる

5分

最後の課題は、今日の index.html を起点に、8/20(木) の同窓会までに自分の成果物を育てることです。

やること
1
育てる対象を1つ決める
今日のHP(下層ページの追加・内容の磨き込み)でも、5回で作ってきた業務向けの仕組み(スキル・前提ファイル・MCP活用など)でも構いません。1つに絞ります。
2
今日の型で手を入れる
要件をドキュメントに書く → 方向性を決める → 実装させる → 自分で見て直す。工程を分け、成果物を次の工程に渡す進め方をそのまま使います。
期待される結果

8/20に自分の画面で見せられるものが1つある状態。

§4.1進め方のヒント① — HP制作に使える公開スキル・プラグイン

まず、Anthropic 公式が公開しているスキルのうち、この宿題に使えるのは次の2つです。

スキル名 できること 入れ方(Claude Code)
frontend-design 配色・書体・レイアウトを「設計→自己批評→実装」の2段階で決め、テンプレート的な見た目を避けます 入力欄の隣の「+」> Plugins > Add plugin で検索、または
/plugin install frontend-design@claude-plugins-official
theme-factory 配色+フォントの組み合わせテーマ10種から、HTMLページの見た目を整えます /plugin marketplace add anthropics/skills のあと
/plugin install example-skills@anthropic-agent-skills
  • 似た名前の brand-guidelinesAnthropic社のブランド配色を適用するスキルです。自社HPには使いません
もう一歩踏み込みたい方へ — superpowers(コミュニティ製)

上の2つが「見た目」を助けるスキルなのに対して、superpowers は「進め方」を助けるプラグインです。ブレスト → 設計 → テストを書きながらの実装 → コードレビュー、という開発の型そのものを Claude に持たせます。今日みなさんが6工程でやったことを、Claude 側に手順として組み込んだものと考えると分かりやすいです。

  • 入れ方: /plugin install superpowers@claude-plugins-official のあと /reload-plugins
  • Anthropic製ではなくコミュニティ製です(作者: Jesse Vincent 氏)。公式カタログに載っていますが、Anthropicの動作保証・サポートの対象ではありません。公式ドキュメントも「インストール前に信頼できるか確認すること」と明記しています
  • 20以上のスキルが入っているため、有効にすると毎回のやり取りで消費するコンテキストが増えます。まずは入れずに進め、物足りなければ試す、で構いません

§4.2進め方のヒント② — GitHubで履歴を残す(会社のGitHubアカウントがある方向け・任意)

育てたHPをGitHubに置くと、いつ何を変えたかの履歴が残り、失敗しても前の状態に戻せます。git と GitHub CLI(gh)が入っていれば、Claudeに「変更をコミットして」「プルリクエストを作って」と日本語で頼むだけで実行してくれます。

  • デスクトップアプリの Code タブは、初回利用時に Git for Windows のインストールが必要です(入れたらアプリを再起動)。gh は初めてプルリクエストを作るときにインストールを案内されます
  • 次の一歩: 公式GitHubプラグイン /plugin install github@claude-plugins-official で、イシュー作成・プルリクエスト管理・リポジトリ検索もチャットから頼めるようになります
同窓会 — 2026年8月20日(木) 18:00〜
  • 内容 — 各自が作ってきたシステムやホームページを見せ合う会です
  • 発表の範囲 — 未完成・失敗談も発表対象です
  • 会場・参加方法 — 詳細は追って案内します
CLOSE5

総括・運営からのお知らせ 共通

15分

§5.15回で積み上げた道具立て

この5回は1つのストーリーでした。「任せる → 覚えさせる → 広げる → 作り切る」の4段階です。

1
任せる(第1〜2回)
チャットで答えをもらう → アーティファクトで形にする → Claude Code / Cowork で作業ごと任せる。
2
覚えさせる(第3回)
前提は CLAUDE.md/プロジェクトへ、手順はスキルへ。コンテキストを設計して「いつもの相棒」にする。
3
広げる(第4回)
MCP・コネクタ・プラグインで道具箱を拡張し、外部のツール・システムまで手が届くようにする。
4
作り切る(第5回)
工程を分け、成果物をつないで、動くものまで到達する。今日のハンズオンがこれです。

§5.2AI駆動開発の型 — 今日やったことの構造

今日のハンズオンでやったことは、次の3点に整理できます。

1
工程を分ける。「HPを作って」と一度に頼まず、調査・目的設定・再調査・要件・デザイン・実装の6工程に分けて頼みました。
2
各工程の成果物をドキュメントにする。頭の中や会話の中に置かず、調査結果・方針・CLAUDE.mdrequirements.mdstyle-guide.md というファイルに残しました。
3
それを次工程のインプットに渡す。実装のとき「requirements.md と style-guide.md に従って」と指定しました。工程1〜3の資料をフォルダに置いたのも同じ理由です。
前工程の成果物を次工程のインプットとして渡すと、AIの出力品質が安定します。工程が長くなるほど、この差は大きくなります。

5回で繰り返してきた4原則(再掲)

原則 今日どこで出てきたか
見せていないものは見えていない 工程1〜3の資料を先に作ってから要件を頼んだ(STEP 1〜3 → STEP 4)
確認を読んでから許可する 調査計画を読んでから実行させ、実装前に requirements.md を確認した(STEP 1・4)
1回で完成させない requirements.md を読んで直させ、実装は往復で仕上げた(STEP 4・6)
最終責任は人間にある 大方針もデザインも、複数案からどれで進めるかを選んだのは自分(STEP 2・5)

§5.3運営からのお知らせ — Claudeプランについて

所属会社によって期限と手続きが異なります。自分の所属の行を確認してください。

所属 利用できる期限 継続したい場合
IFTC・ITHD 8/20(木) まで
8/21以降、順次プランをキャンセルします
上司と相談のうえ、8/20までに運営へ連絡してください
ITSV 9/27(日) まで 各自でクラウド利用申請をお願いします

§5.4アンケート

URLも設問も毎回と同じです。「第何回の振り返りですか?」では第5回を選んでください。5回続けてきた最後の回答になります。今後の社内展開の計画に直結するインプットです。

ふりかえりアンケート(全5回共通)

今日やったこと・感じたことを教えてください。

▶ ふりかえりアンケートに回答する(Microsoft Forms)

§5.5まとめ — AI-Readyな会社になるために

セットアップから始めたこの5回で、みなさんは課題の洗い出しから実装までをAIと回せるようになりました。この使い方を業務で続け、現場の実績を持ち寄り、一人ひとりが当事者として積み重ねていくことが、この会社をAI-Readyにしていくのだと思います。その最初の一歩が、8/20の同窓会です。

このあと — 懇親会

19:30〜、同会場で懇親会を行います。

リファレンス

卒業後の自習用リンク集です。

卒業課題で使う — スキル・GitHub連携(§4.1 / §4.2)

AI駆動開発を深める