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第1回 座学パート(30分)

2026-04-23(木) 18:00-18:30 | AI駆動開発とは何か 対象: BS本部プロパ(BSG・ISG・BPM-SG)| 47名


今日のゴール

Claude Code を自分のPCで動かし、コードが生成される瞬間を見る。

それだけです。完成度は問いません。

置いていかない宣言

  • 分からないまま進む状況は作りません
  • 質問は座学中でも遠慮なく(Slack・発話どちらでも)
  • BSG藤井さんが会場を巡回してサポートします

なぜこのワークショップをやるのか

AI駆動開発ができる仲間を増やしたい — そんな想いから企画しました。 ここはゴールではなく、スタートライン。 5回を通して、メンバーは「自分の案件で AI をどこに使えるか/使えないか」を判断でき、リーダーは「必要な場面でチームでの活用を推進できる」状態を目指します(募集スライド再掲)。


今日の90分

時刻 内容 主役
18:00-18:30 座学(いまここ) 講師
18:30-18:50 デモ: 講師が自己紹介サイトを作る 講師
18:50-19:15 ハンズオン: 自分の自己紹介サイトを作る みなさん
19:15-19:25 作ったサイトをテーブルで共有する みなさん
19:25-19:30 まとめ・次回予告 講師

⚠️ 18:00-18:30 は社内ネットワークメンテナンスの時間ですが、座学中はネット不要なので影響はありません。デモ以降は回復している想定です。


AIとコードを書く、3つの付き合い方

違いはひとつ、ドライバーが誰か。人が書くのをAIが補助するのか、AIが書くのを人がレビューするのか。

代表ツール ドライバー やっていること
①チャット ChatGPT / Claude.ai / Gemini AIに聞く・貼って相談する
②補完 GitHub Copilot / Amazon Q エディタで次の一行を予測する
エージェント Claude Code / Cursor Agent AI タスクを分解して実行する

エージェントの場合、人の役割は

  • ゴールを示す
  • 進捗を見てズレを直す
  • 最後にレビューする

「書く人」から「任せてレビューする人」へ、立ち位置が変わる。


Claude Code とは

基本情報

  • 提供元: Anthropic 社
  • 登場: 2025年(研究プレビュー 2025年2月 / 一般提供開始 2025年5月)
  • 位置付け: AIモデル「Claude」をベースにした コーディング専用エージェント
  • 主要モデル: Opus 4.x / Sonnet 4.x / Haiku 4.x(用途と予算で使い分け)

利用環境

同じエンジンで 複数のインターフェース から使えます。

環境 概要
Terminal CLI 元祖。シェルから claude コマンドで起動
VS Code / JetBrains 拡張 IDE 内で対話(今日使うのはこれ)
Desktop アプリ Mac / Windows ネイティブアプリ
Web claude.ai/code からブラウザで
iOS アプリ モバイル

CLAUDE.md や設定はどの環境でも共通で読み込まれます。

拡張機構

Claude Code にはチームごとに振る舞いを調整する仕組みがあります(第2回以降で登場)。

機構 役割
CLAUDE.md プロジェクトのルール・規約を恒久的に伝える
MCP Slack / Jira / Google Drive 等の外部サービスと連携
Skills 再利用可能な作業手順をパッケージ化
Hooks ツール実行前後にカスタムコマンドを挟む

Claude のモデル(Opus / Sonnet / Haiku)

Claude には性質の異なる 3系統のモデル があり、Claude Code でも用途に応じて切り替えられます(公式 Models overview より、2026-04 時点)。

モデル 位置付け 得意領域 速度 コンテキスト API料金(入力 / 出力 ・ 100万tok)
Opus 4.7 最高性能 複雑な推論・エージェント的コーディング・大規模変更 ふつう 1M tokens $5 / $25
Sonnet 4.6 バランス型 日常的なコーディング・速度と精度の両立 速い 1M tokens $3 / $15
Haiku 4.5 高速・軽量 定型処理・大量バッチ・即応性重視 最速 200K tokens $1 / $5

名前の由来: Opus(オーパス、大作) / Sonnet(ソネット、定型詩) / Haiku(俳句)。 「大きく深い」から「短く速い」へと並んでいます。 コンテキスト = 一度に読ませられる情報量。1M tokens ≒ 文庫本5〜7冊分ほど。

使い分けの目安

  • 迷ったら Sonnet — 速度・品質・コストのバランスがよく、日常作業はこれで足りる
  • 複雑な設計判断・大規模リファクタOpus
  • 定型タスク・大量バッチ処理Haiku
  • Claude Code では /model コマンド でセッション中に切り替え可能

今日の演習(HTMLで自己紹介サイト)は Sonnet で十分 です。Opus は重すぎ、Haiku だと設計的な対話に力不足。


Claude のプラン体系

Claude は用途別にプランが分かれています(公式 Pricing)。

プラン 月額(月払い目安) Claude Code 主な対象
Free 無料 Web/アプリでお試し
Pro $20 個人利用
Max(5x / 20x) $100 / $200 個人ヘビーユーザー(Pro比で使用量 5〜20倍)
Team Standard $25 / seat 組織利用
Team Premium $125 / seat 組織利用(Standard比で使用量 5倍)
Enterprise $20 / seat + 使用量 大規模組織(SSO・監査ログ・HIPAA 対応など)

⚠️ Claude Code は Pro 以上 で利用可能。Free では使えません。 年払い契約だと Team Standard は $20 / seat に下がります。

BS本部で使っているプラン

今回は Claude Team(Standard シート) を 2ヶ月限定で契約しています。

項目 内容
プラン Claude Team / Standard シート
課金単位 $25 / 人・月(月額払い)
対象人数 約40名(参加者全員)
期間 2ヶ月間(4月末〜5月末)
費用計上 各部門の 教育費

今日みなさんが使うのは、組織契約の Team Standard アカウント です。 個人の Pro や Free ではなく、管理者からシートを割り当てられたアカウントでサインインします。

Team プランを使うメリット

全員が個人で Pro を契約するのではなく Team プランを選んだのは、組織利用ならではの利点があるためです。

メリット 内容
学習利用の一括制御 管理者が組織メンバー全員のフィードバック送信を一括で無効化できる → 意図せぬ学習利用を構造的に防げる
アカウントの一元管理 管理者がシートの追加・削除・再割当てを制御。異動・退職にも追随しやすい
請求の一元化 個人の立替や経費精算が不要。教育費として一括計上できる
使用量の拡大 個人 Pro より Claude Code の利用枠が広い
組織向け機能 SSO 連携、Enterprise search など組織運用に必要な機能が揃う

単なる「人数分のまとめ買い」ではなく、セキュリティ・コスト・運用管理を一括で解決できる のが Team プランの価値です。


Claude Code ができること(組み込みツール一覧)

Claude Code は ツール と呼ばれる道具を通じて作業します。 公式 Tools reference より、主な組み込みツール:

ファイル・コード操作

ツール 役割 承認要
Read ファイルの中身を読む
Write 新規ファイル作成・上書き
Edit ファイルの一部を書き換える
NotebookEdit Jupyter ノートブックのセル編集
LSP 型エラー検知・定義ジャンプ(要プラグイン)

検索

ツール 役割
Glob ファイル名パターン検索(例: **/*.ts
Grep ファイル内容のパターン検索(ripgrep ベース)

コマンド実行・監視

ツール 役割 承認要
Bash シェルコマンドを実行
PowerShell PowerShell コマンドを実行(Windows向け)
Monitor 長時間ジョブをバックグラウンドで監視

Web

ツール 役割 承認要
WebFetch 指定 URL の内容を取得
WebSearch Web 検索

対話・計画

ツール 役割 承認要
AskUserQuestion ユーザーに選択肢つきで質問する
EnterPlanMode プランモードに入り、作業前に方針を設計する
ExitPlanMode プランを提示して承認を取り、プランモードを抜ける

タスク管理

ツール 役割
TaskCreate / TaskList / TaskGet / TaskUpdate やることリストの作成・参照・更新
TodoWrite 非対話モード用のチェックリスト

サブエージェント・拡張

ツール 役割 承認要
Agent 別コンテキストのサブエージェントを起動
Skill パッケージ化された作業手順を実行
ToolSearch 遅延ロードされた MCP ツールを探して読み込む

その他

  • CronCreate / CronDelete / CronList — セッション内スケジュール実行
  • EnterWorktree / ExitWorktree — git worktree で並行作業
  • ListMcpResourcesTool / ReadMcpResourceTool — MCP サーバー経由のリソース参照

「承認要」 が ✅ のツールは、初回実行時にユーザーへ許可を確認 します。 意図しない書き換え・危険なコマンドが勝手に実行されないよう、デフォルトで承認制です。

📎 Tools referencePermissions


Claude Code が「見ている」もの(コンテキスト)

Claude Code は そのセッションで見えている情報 だけを頼りに動きます。 この見えている範囲のことを コンテキスト と呼びます。 中身を知っておくと、指示の精度とトラブル対応が一段階上がります。

たとえ話: 博士の愛した数式

小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』に登場する博士は、80分しか記憶が保ちません。 家政婦さんと息子さんは、博士に覚えておいてほしいことを 付箋 に書いて服に貼り、博士は毎朝その付箋を読み直すことで、自分にとって大切なことを思い出します。

Claude Code も同じ構造です。

小説 Claude Code
博士(記憶が保たない) Claude 本体(セッションをまたいで記憶を保てない)
服に貼った 付箋 CLAUDE.md(起動時に毎回読み直される)
博士が自分で書き残したメモ auto memory(MEMORY.md — Claude が自分で残すノート
今日の会話 現在のセッション(終わると消える)
本棚の本 プロジェクト内のファイル(Read で見せれば読める)

Claude には「付箋で伝えておく情報」と「会話の中でその場で見せる情報」の2種類しかない — これがコンテキスト設計の出発点です。

起動時に自動で読み込まれるもの

種類 内容
システムプロンプト Claude Code 自体の動作ルール(非表示・常時)
環境情報 作業ディレクトリ、OS、シェル、Git リポジトリの状態・最近のコミット
プロジェクト CLAUDE.md プロジェクト直下の規約・設計方針・ビルドコマンド
ユーザー CLAUDE.md ~/.claude/CLAUDE.md の個人設定
自動メモリ(MEMORY.md 過去セッションで Claude がメモした学習(先頭200行 / 25KB まで)
Skill / MCP ツール名 使える機能の一覧(詳細は使うときに読み込む)

セッション中に追加されていくもの

  • あなたが送った プロンプト
  • Claude が 読んだファイル の中身(Read ツール経由)
  • Claude が 実行したコマンドその出力
  • Claude が 書いた/編集したコード
  • パスにマッチして発火した ルール.claude/rules/ 内で paths: 指定されたもの)
  • 呼び出した SkillHook の出力

見えて「いない」もの

  • あなたのPC上の、Claude が明示的に読んでいないファイル
  • 社内ポータル・チケット・Slack など 外部サービスの情報(MCP連携がない限り)
  • 過去の別セッション の会話(auto memory に残した分以外)
  • ブラウザや別アプリで開いている情報

今のコンテキストを可視化するコマンド

「何が読み込まれているか」「どれくらい使っているか」はコマンドで確認できます。

コマンド 表示されるもの
/context 現在のコンテキスト使用状況を色付きグリッドで可視化。容量警告や、重い箇所の最適化提案も表示
/memory 読み込まれている CLAUDE.md ファイルの一覧と、auto memory の内容を閲覧・編集

使い方の例: セッションが重くなってきたら /context で「何がコンテキストを食っているか」を確認 → /compact で圧縮、または /clear でリセット、という流れ。

💡 指示のコツ: Claude Code は見えているものしか知りません。 「この仕様書を見て」とファイルパスや URL を明示する/CLAUDE.md に前提を書いておく — 見せる ことを意識すると精度が上がります。

📎 参考: Explore the context windowHow Claude remembers your projectCommands


コンテキストを節約するコツ

Claude Code は一度のセッションに詰め込める情報量(コンテキストウィンドウ)に上限があります。 長く使うと詰まってきて、回答の質が落ちる・動作が重くなる ことがあります。

すぐ使える3つのコマンド

コマンド 使うタイミング 効果
/clear 話題が切り替わるとき セッションをリセットして新しく始める
/compact 会話が長くなってきたとき 会話履歴を要約して圧縮する
/init プロジェクト初回セットアップ時 コードベースを解析して CLAUDE.md を自動生成する

考え方

  • 1セッション = 1タスク を意識する
  • 違う話題に切り替わったら /clear で一度リセット
  • 長く話したセッションは /compact で圧縮してから続ける
  • 恒久的な前提は CLAUDE.md に書いておく(毎回説明しなくて済む)

プラン側の使用制限について

セッションごとのコンテキストとは別に、Claude Team プラン自体にも使用量の上限 があり、超えると一時的に制限がかかります。

基本の仕組み

  • 時間ウィンドウと週次の二段構え で制限が設定されている(具体的な数値は Anthropic 側で調整されうるため、最新値は公式ドキュメント参照)
  • Claude.ai(チャット)と Claude Code は使用量を共有 — 片方を使うともう片方の枠も減る
  • Premium seat > Standard seat: Premium のほうが枠が広い
  • モデルごとに消費量が違う: Opus は重く、Sonnet は中庸、Haiku は軽い

使用状況を確認するコマンド

セッション内で /usage を叩くと、プランの使用制限・レート制限の現在の状況(いまどれくらい使っているか/残り枠)が確認できます。

制限に近づいたら/超えたら

  • 近づくと UI に 警告メッセージ が表示される
  • /usage で残り枠を事前に確認できる
  • 超過したときの主な選択肢:
  • 次のリセットまで待つ(数時間〜)
  • 管理者経由で Premium seat へ切り替え を相談
  • /extra-usageAPI クレジット に切り替えてオンデマンド課金(管理者設定が必要)

⚠️ ワークショップ中に Opus で重い作業を連発 すると Standard シートの枠を早く消費します。 日常的には Sonnet を使い、本当に難しいときだけ Opus、がおすすめです。

📎 参考: Using Claude Code with your Team or Enterprise planManage costs effectively


ハルシネーションを防ぐコツ

AIが「それっぽいけど事実と違う」情報を出すことを ハルシネーション と呼びます。 ゼロにはできませんが、以下のコツで発生率を大きく下げられます。

  • 出典の提示を求める: 「どこに書いてある?」「どのファイルの何行目?」と問い詰める。捏造した情報は出典を追えないので崩れる
  • 推測ではなく実物を読ませる: 「推測で答えないで、Read で該当ファイルを読んでから答えて」と明示。コードベースに直接アクセスできるのに学習データの記憶だけで答える場面を防ぐ
  • 「わからない時はわからない」と指示する: AI は答える圧力が強く、知らないことも埋めようとする。プロンプトや CLAUDE.md に明記しておく
  • 検証可能な形で返させる: テストを書いて通す/Bash でコマンド実行結果を見せる/WebFetch で実URLから取得させる。記憶ではなく実行結果を根拠 にさせる
  • 大きな作業は小さく分割する: 一気にやらせると「辻褄合わせ」で嘘が混入しやすい。Plan Mode を使ってステップごとに確認を挟む
  • 重要な判断はクロスチェック: 同じ質問を /clear 後の別セッションや別モデルで投げて比較する。会話の流れに飲まれた誤認を検出できる

ざっくり: AI の言うことを鵜呑みにしない。根拠と実物で裏を取る。


使うときの注意

❶ 機密情報は扱わない

顧客情報・契約内容・本番環境の認証情報は Claude Code に読ませない。 今日は 練習用の自己紹介サイト なので心配不要です。

❷ 入力データの学習利用について(BS本部の設定)

Anthropic の商用製品(Claude Team・API)は、デフォルトで入力/出力をモデル学習に使いません。 例外は「👍👎 のフィードバックボタンを自分で押した場合」のみです。

BS本部の Claude Team では、管理者側で フィードバック送信機能自体を無効化 してあります (Organization settings > Data and Privacy > Rate chats で設定)。 つまり、意図せずデータが学習に使われることは構造的に起きない 状態になっています。

それでも ❶ の通り、機密情報をそもそも入れない運用が基本です。 📎 参考: Anthropic Privacy Center

❸ AI が外部から持ってくるものに注意(サプライチェーン)

AI は作業の途中で、外部のパッケージやサービス を自動的に引き込もうとすることがあります。 承認画面で「何を足そうとしているか」を必ず目視してください。

  • パッケージの追加: npm install xxx / pip install xxx のような提案が出たら、パッケージ名を一字一句確認する。AI が 似た名前の悪意あるパッケージ(typosquatting)を掴むことがあります
  • MCP サーバー: MCP は Claude に外部機能を足す仕組みですが、実体は 任意のコードを実行できる プログラムです。知らない発行元の MCP を追加するのは、素性の分からないブラウザ拡張を入れるのと同じリスク だと考えてください
  • プロンプトインジェクション: AI が読んだ Web ページや外部ツールの出力に「〇〇を実行せよ」という 隠し指示が仕込まれている攻撃 が実在します。権限承認の画面で実行内容を必ず見てください

ざっくり: AI が勝手に増やした依存は信用しない。必ず自分の目で確認する。

❹ 生成されたコードは必ず自分でレビューする

AIは「それっぽいけど間違っている」コードを書くことがあります。 動くこと ≠ 正しいこと


では、触ってみましょう

まず講師がデモをします。

題材: 自己紹介サイトを作る

  • HTML で 1ページの自己紹介サイトを Claude Code に作らせます
  • どう指示を出すか、どうファイルが生成されるかを見てください
  • 「こんな感じで動くのか」 が伝われば成功

このあと、みなさん自身で同じことをやってもらいます。