「任せられるAI」を自分のPCで動かす
今日から2つのコースに分かれます。開発の仕事をする方は Claude Code、それ以外の方は Cowork。どちらも「チャットで答えをもらう」のではなく、AIに作業そのものを任せるツールです。
はじめての方 — 自分のコースのツールの使い方をなんとなく理解し、何かひとつ形になるものを作ること。
Claude Code や他のコーディングAIの経験者 — Claude がどんなコンテキストを読み、どんなツール(道具)を使って動いているのかを説明できるようになること。
今日のタイムスケジュール
はじめに・宿題の発表・コース選び
20分§0.1前回のふりかえりから — みんなの発見
第1回のアンケートには82名にご回答いただきました。回答の中から、参考になりそうな発見を紹介します。
- いきなり作らせず、壁打ちしてから。「めんどくさいけど、一つずつ質問してもらう方がいいものができあがる」
- プロンプトに目的や課題感も書く。「依頼していることの目的感や課題感を含めてあげると期待に近いものができる」
- 「Claudeへの指示」(カスタム指示)を活用する。回答の信頼度を表記させるなど、自分ルールを覚えさせている方もいました
アンケートでは質問・リクエストもいただきました。当日は2〜3問を口頭で、残りはここで回答します(クリックで開きます)。
Q1. チャットで頼むのと「アーティファクト」で作るのとで何が違う?
- チャットの返事=会話の中の文章。アーティファクト=横の専用パネルに切り出された独立した成果物(文書・HTMLサイト・SVG・小さなアプリ等)
- コードはブラウザ内の隔離された領域(サンドボックス)で実行。外部サイト・APIへのアクセスは制限され、その中で完結する作りが原則
- リンクひとつで共有でき、受け取った人は自分用コピーとして改造(リミックス)できる
- 入口はチャットからでもメニューの「アーティファクト」からでも、できあがるものは同じ
Q2. 画像はどこまで扱える? ネットの画像を持ってこさせるのは失敗した
- 写真・イラストのような画像(PNG・JPEG)の生成はできません(公式に明記)。図・チャートは HTML/SVG のコードとして「描く」ことは可能——「画像を生成して」と頼むと、SVG で描こうとする様子が観察できます
- 外部サイトへのアクセスが制限されるため(Q1参照)、ネット上の画像URLの直接埋め込みは基本的に失敗します
- 使いたい画像は、利用条件を確認したフリー素材(いらすとや等)を先にダウンロードしてファイルで渡すのが確実。画像の「読み取り」は JPEG/PNG/GIF/WebP 対応です
Q3. カスタム指示には他に何を書くとよい? みんなの指示を共有してほしい
Q4. 元データの整理もできる? データ集計やチェックのデモが見たい
Q5. Microsoft 365(SharePoint)との連携は使える? 社内規定的に問題ない?
Q6. 機密情報の管理や、AIのブラックボックス化はどう考えればいい?
- どのファイルを読み・何を実行したかが作業ログに表示されるので、チャットよりむしろ「何をしたか」を追いやすいツールです
- ファイルの変更・実行は承認制で、あなたの許可なしには進みません(§5.1)
- Team 契約では入力・出力がモデルの学習に使われない設定です(第1回で説明)
- そのうえで「機密情報・個人情報は入れない」という社内ルールを重ねて守ってください
Q7. おすすめの自習用教材(YouTubeなど)はある?
- みのるんさん — 生成AI系の発信で有名(Qiita・X)
- nwiizoさんのブログ「じゃあ、おうちで学べる」 — Claude Code の実践記事が豊富。講師も勉強に使いました
- ポッドキャスト「ながらAI」 — 毎週配信。通勤中のAI情報収集に(Apple Podcasts)
Q8. 精度の高い回答が返ってくるプロンプトの書き方を知りたい
§0.2宿題の発表 — テーブル内で1人3分
前回の持ち帰り演習で作ったアーティファクトを、テーブル(グループ)内で順番に発表します。1人3分・テーブル全体で12分が目安です。
- 何を作ったか — 作ったものの画面をそのまま見せながら(スライド不要)
- やってみてどうだったか — うまくいった点・いかなかった点
- 一言 — 発見したコツ、次にやってみたいこと
進行はテーブル内で時計回り。3分経過の合図は運営がスクリーンに出します。未完成・失敗談も発表対象です。
§0.3今日からコースが分かれます — このページの見方
この資料では、どの部分がどちらのコース向けの説明なのかを、次の3色のバッジで示します。バッジのない部分と 共通 バッジの部分は全員が対象です。
コードを書く仕事をしている方向け。Claude デスクトップアプリの「Code」タブから使います(VS Code の拡張機能でも同じものが使えます。どちらでもOK。今日の説明はデスクトップアプリで行います)。ファイルの読み書き・コマンド実行・Git 操作まで、開発作業をまるごと任せられます。
開発以外の仕事をしている方向け。第1回で使った Claude デスクトップアプリのホーム画面から、入力欄を「Cowork」に切り替えて使います。PC上のファイルを使った実務作業(資料づくり・整理・集計)を任せられます。
基本は「ふだんコードを書くか」で選んでください。途中でコースを変えるのも、両方触るのも自由です。今日のハンズオンの時間内なら行き来してかまいません。
| 迷いやすい方の早見表 | おすすめ |
|---|---|
| 業務改善・RPA/事務・経理・人事・総務/企画・分析 | Cowork から。物足りなければ次回以降に Claude Code へ |
| インフラ・運用(スクリプトや設定ファイルを触る) | Claude Code。コードでなくても設定ファイル・ログは立派な対象です |
| 開発の管理職・レビュー中心で最近書いていない | どちらでも。レビューや調査が目的なら Claude Code が近道 |
| 「開発を体験してみたい」だけの非エンジニア | Claude Code を選んで構いません(コードは書かずに作れます) |
なお、このあとのデモ①は開発寄りの題材ですが、業務コースの見せ場はデモ②にあります。デモ①は「開発だとこう使うのか」という参考としてご覧ください。
実はこの2つ、中身は同じ Claude です。Anthropic は Cowork を「Claude Code の能力を、コードを書かない人向けに簡略化した体験で提供するもの」と説明しています。だから今日の後半の「種明かし」も、両コース共通の1つの話としてお話しできます。
プロンプトのコツ #1 — アイデア出しは「30個」と数で頼む 共通
3分アンケートで多かった「プロンプトの書き方を知りたい」にお応えして、毎回ひとつずつコツを紹介するコーナーを始めます。第1回のテーマはアイデア出し・ブレスト——このあとのハンズオンで「何を作るか」を決めるときに、早速使えるコツです。
§T.1なぜ効くのか
AIは「この質問には、こういう答えが来やすい」というパターンを学んでいるので、普通に聞くと誰もが思いつく定番から順に出てきます。人に好まれるよう仕上げられているぶん、無難に寄る傾向はさらに強い——開発元の Anthropic 自身が「ありきたりな出力に収束しがち」と公式ドキュメントに書いているほどです。
だからこそ数を指定します。同じ案は繰り返せないので、20個目・30個目には定番を出し尽くし、普段は出てこない変わり種まで持ち出さざるを得なくなるのです(まとめて出させると多様性が広がることは研究でも確認済み)。ただし数だけだと「言い換え」が混ざるため、「方向性の違うものを」の一言をセットにするのがコツです。
§T.2ビフォー/アフター
30案が出揃ってから、次のメッセージで「この中から実現性と新しさで上位5つを選び、理由を付けてください」と頼みます。「出す」と「選ぶ」を分けるのがポイントです。
§T.3あわせて使いたいコツ3つ
- A定番を先に出し切らせる — 「まず定番の案を10個。そのあと、それとはまったく違う切り口で20個」
- B立場を変えて出させる — 「ベテラン・新人・お客様・コスト部門、4つの立場で各5案ずつ」
- C自分の案は先に見せない — AIには、先に示された意見に答えを寄せる性質があることが研究で確認されています。まっさらな案が出揃ってから「実は私はこう考えていた」と比較させましょう
※技術に興味のある方向けの補足: 本文の「答えの出やすさ」は、モデルの出力確率と、人間のフィードバックによる調整後に起きる「mode collapse(典型回答への収束)」として研究されている性質です。
§T.4種本の紹介 — Anthropic 公式のベストプラクティス集
今日のようなコツの"本家"にあたる、開発元 Anthropic 公式のベストプラクティス集「Prompting best practices」があります。このコーナーの今後の種本のひとつになるので、存在だけでも覚えて帰ってください。数ある推奨事項の中から、このワークショップの皆さんに特に効くものを6つ選んで紹介します。
| 公式の推奨 | どういうことか | 使いどころ |
|---|---|---|
| 明確・直接的に書く Be clear and direct |
Claude を「優秀だけど入社したての新人」だと思って、欲しい成果物や条件を具体的に伝えます。公式の黄金律は「そのプロンプトを、事情を知らない同僚に見せて迷わず作業できるか」。 | すべての頼みごとの基本 |
| 指示の理由・背景を添える Add context to improve performance |
「なぜそうしてほしいのか」を一言添えると、意図をくみ取って応用まで効かせてくれます。公式の例では「…は使うな」より「読み上げソフトで音声化するので…は使わないで」の方が効果的。 | 守ってほしいルールや制約があるとき |
| 例を見せる Use examples effectively |
出力の形式・トーン・構成を揃えるいちばん確実な方法のひとつ。実際の用途に近い例を、偏りが出ないよう変化をつけて3〜5個見せるのが目安とされています。 | 「こんな感じで」を伝えたい資料作成・文章の書き換え |
| 役割を与える Give Claude a role |
「あなたは〜の専門家です」と最初に一文置くだけでも、回答の焦点とトーンが変わるとされています。 | 専門的な観点でレビューや相談をしたいとき |
| 章立てや区切りで構造を示す Structure prompts with XML tags |
指示・資料・例が混ざる長い頼みごとは、「ここからが指示」「ここからが資料」と種類ごとに区切って書く(公式では XML タグを推奨)と、取り違えが減ります。 | 資料を貼り付けて頼む長いプロンプト |
| 長い資料は先、頼みごとは最後 Long context prompting |
長い文書を渡すときは、資料をプロンプトの先頭に置き、質問や指示をその後ろに書きます。公式には、質問を最後に置くと回答品質が最大30%向上したテスト結果が紹介されています。 | 議事録・報告書などを丸ごと貼って分析させるとき |
ページ本体は英語ですが、この6つ以外にも実例つきの推奨がまとまっています。URL は platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-engineering/claude-prompting-best-practices — ブックマーク推奨です。
講師デモ① — Claude Code Claude Code
10分まず講師が、Claude デスクトップアプリの Code タブで Claude Code を動かしてみせます。見るだけでOKです。業務コースの方も、「開発だとこう使うのか」という比較材料として見てください。
§1.1まず画面の見方 — Code タブのホーム画面
デモを見る前に、画面のどこに何があるかだけ押さえておきます。ハンズオンで自分が操作するときの地図です。
- 1Home / Code タブ — アプリ上部で切り替えます。Claude Code はこの「Code」タブです(第1回まで使っていたチャットは Home 側)
- 2作業フォルダの選択 — どのフォルダを作業対象にするかをここで選びます。ここで選んだフォルダが、Claude が自分でファイルを読み書きする「作業場」になります(→§4.2)
- 3タスク入力欄 — 頼みごとを日本語で書きます。「/」と打つとスキル(定型の頼みごと)も呼び出せます
- 4権限モードの切替 — どこまで自動で進めてよいかを選びます。1件ずつ確認・編集だけ自動承認・計画だけ立てる(プランモード)などをここで切り替えます(→§5.1)
- 5モデルと思考レベル — 第1回で説明したモデルの選択と思考の深さ。迷ったらそのままでOKです
- 6セッション — 1つの頼みごとのやり取り=1セッション。新しい作業を始めるときは「新規セッション」から。過去のセッションは「最近の項目」に残ります
- 7利用状況 — セッション数やトークン使用量の目安がここで見えます
※画面は2026年7月時点のWindows版デスクトップアプリです。アップデートで配置や文言が変わることがあります。
- 作る前に計画に注文をつける — 完成後に直すより、計画段階で方向を直すほうが早い
- 貼り付けなしで、Claude が自分でファイルを作り・読み・実行している(→§4.1〜4.2)
- ひと言で「覚え書きファイル」CLAUDE.md が自動生成された(正体は→§4.3)
- 権限確認は面倒な儀式ではなく守ってくれるブレーキ(→§5.1)
§1.2ここまで作れる — 事前制作の作品紹介(2分)
TODOアプリは「使い方」を見せるための題材です。実務レベルで何ができるかは、事前に Claude Code で作っておいた2つの作品でお見せします。どちらも実際の開発現場を想定した題材です(データ・コードはすべて架空)。
仕様書が失われた架空のレガシーシステム(Struts + COBOL、37ファイル)を Claude Code に読ませて生成した解読報告書です。処理フロー・暗黙の業務仕様・移行リスクまで、コードだけから逆算しています。
Excelの項目定義書(12項目)から、DDL・エンティティ・入力チェック・正常系/異常系テストデータを一度に生成。同じ定義書から同時に導出するので、チェック仕様とテスト期待値がズレません。
講師デモ② — Cowork Cowork
10分次に、同じ Claude デスクトップアプリのホーム画面で入力欄を Cowork に切り替えて、コードを書かない実務作業を任せてみせます。こちらも見るだけでOKです。
§2.1まず画面の見方 — Cowork のホーム画面
Cowork は第1回で使ったチャットと同じホーム画面から始めます。入力欄で「Cowork」を選ぶだけです。
- 1チャット / Cowork の切替 — 同じ入力欄で切り替えます。「チャット」は第1回までの会話、「Cowork」を選ぶと頼みごとがタスク(作業)として実行されます
- 2フォルダ(またはプロジェクト)の接続 — Cowork に見せる場所をここで選びます。Cowork がファイルを読み書きできるのはここで接続を許可したフォルダの中だけです(→§5.1)
- 3タスク入力欄 — 頼みごとを日本語で書きます。「/」でスキル(定型の頼みごと)を呼び出せます
- 4実行モードの切替 — 作業のつど確認してから進めるか(マニュアル)、確認なしで最後まで進めるかを選びます。どちらのモードでも、ファイルの完全削除の前には必ず確認が入ります
- 5モデルと思考レベル — Claude Code 側と同じです
- 6プロジェクト・タスク履歴 — 過去のタスクは「最近の項目」から。関連するタスクをまとめる「プロジェクト」(→§4.3)もここで作ります
※画面は2026年7月時点のWindows版デスクトップアプリです。アップデートで配置や文言が変わることがあります。実行モードの公式名称は「Ask before acting / Act without asking」です(公式ヘルプ)。
フォルダに入れておくのは売上明細CSV(半年分・約4,000行)と前期のダッシュボード見本(Excel)の2つ(どちらも架空)。「見本と同じ形式の月次ダッシュボードを作りたい」と伝えますが、いきなり作らせず3段階で進めます。アンケートでご要望のあったデータ集計そのものの実演です。
- 4,000行のデータと見本Excelを貼り付けずにフォルダから直接読む(→§4.1〜4.2)。「前回のと同じ形式で」が、見本を置くだけで通じます
- 計画が計画書ファイルとしてフォルダに残る——注文をつけて育てられ、別セッションに読ませ直せる(→§4.3)
- 仕上げは「計画書のとおりに作って」のひと言——長い前提は毎回口頭ではなく、ファイルにして渡す
- 集計だけでなく、データの「気づき」(所見)まで書き添えてくる——集計ツールとの一番の違い
§2.2ここまで任せられる — 事前制作の作品紹介(2分)
集計以外に何ができるかは、事前に Cowork で作っておいた2つの作品でお見せします。どちらもいまのデモと同じく「複数のローカルファイルを組み合わせて仕事をする」作品です(データはすべて架空)。
旅費規程(文書)と精算明細26件(データ)の2つのファイルを読ませて、規程違反の疑いを条項・理由付きで指摘させました。集計ではなく「ルールを読んで判断する」仕事です。
会議の自動文字起こし(話者が「男性1」だったり人名が誤変換されていたり)だけでは議事録になりません。出席者名簿と社内様式の計3ファイルを組み合わせて、話者を正式名に解決した完成議事録を作らせました。
コース別ハンズオン
30分ここからは自分のコースのツールを実際に動かします。まず Claude Code か Cowork か、自分が進めるほうのブロックに進んでください。
「フォルダの中身はサーバーに送られるの?」——送信はされますが、Team 契約では学習に使われない設定です(公式の記載)。それでも機密・個人・顧客情報は入れないのが社内ルール(会社・顧客との約束が技術より先に立ちます)。実務ファイルで試したくなったら、このダミー化3手順を通してから:
判断に迷うものは案件の責任者に確認を。
| コース | ダウンロード | 使う場面 |
|---|---|---|
| Claude Code | code-practice-set.zip | 初級編お題1〜2(アクセスログ・項目定義書) |
| Claude Code | jks-legacy-system.zip | 初級編お題3(レガシーコード37ファイル) |
| Cowork | cowork-practice-set.zip | お題1〜10(10フォルダぶんの架空データ) |
| Cowork | 売上CSV / 見本ダッシュボードExcel | 時間が余った人向け: デモ②の再現(手順は §3.2b の E) |
zip はダウンロード後、右クリック →「すべて展開」で展開してから使います。データはすべて架空です。
§3.1Claude Code で作ってみる Claude Code
- Claude デスクトップアプリで「Code」タブが開ける(第1回と同じアプリ・組織の Team アカウントでサインイン済み)
- Git for Windows がインストールされている(Windows で Code タブを使うのに必要です。未インストールの場合は git-scm.com から入手し、インストール後にアプリを再起動)
- 作業用の空フォルダを1つ作ってある
- お題用の配布データをダウンロードして展開してある(上の「配布データのダウンロード」表から。お題1〜3で使います)
- (VS Code で進めたい方のみ)Claude Code 拡張機能がインストールされている(セットアップガイドの「2. Claude Code」参照)
ハンズオンは初級編と上級編の2本立てです。はじめての方は初級編から。経験者や「作りたいものがもうある」方は、最初から上級編に進んでかまいません。どちらも、デモで見た「計画を出させる → 注文をつける → 作らせる → 直させる」の流れは同じです。
デモや事前制作の作品の「追体験」から始めるのが確実です。メニューから1つ選んでください。作りたいものが決まっている方は、メニューによらず自由に作ってかまいません(持ち込みデータの注意は上級編の記載と同じです)。
お題1〜2のデータは code-practice-set.zip、お題3は jks-legacy-system.zip に入っています(ダウンロードは§3冒頭の表から)。展開したフォルダを Code タブで開けばそのまま始められます。
各お題の作るものの概要とプロンプト例(クリックで開きます):
お題1. ログ解析ツール — 概要とプロンプト例
作るもの: 1万行のアクセスログを読み込み、エラー率・時間帯別アクセス数・アクセス上位IPを集計してグラフ付きHTMLレポートを出力するスクリプト。完成したらレポートをブラウザで開いて確認できます。
完成後の改造例: 「短時間に大量アクセスしている不審なIPを検知するセクションを足して」——このログには異常アクセスが仕込まれています。見つかるか試してください。
お題2. 設計書→コード生成 — 概要とプロンプト例
作るもの: 会員登録フォームの項目定義書(CSV・12項目)を設計書として渡し、テーブル定義SQL・入力チェック処理・テストデータの3点を一度に生成させます。1つの設計書から複数の成果物を導出する、作品②(設計書駆動開発)の縮小版です。
完成後の改造例: 「入力チェックをその場で試せる登録フォーム画面(HTML)も作って」——定義書からどこまで作れるかを確かめられます。
お題3. レガシーコード解読 — 概要とプロンプト例
作るもの: ドキュメントのない引き継ぎシステム(37ファイル・架空)を丸ごと読ませ、構成・処理の流れ・コードから逆算した業務仕様・気になる点をまとめた解読レポート(Markdown)を作らせます。コードを書かせない「読ませる」お題です(作品①の追体験)。jks-legacy-system.zip(ダウンロードは§3冒頭の表から)を展開したフォルダを作業フォルダとして開いてください。
完成後の改造例: 「このレポートを、システムを知らない人にも分かる言葉で要約して」「一番リスクが高い箇所の改修案を提案して」
お題4. TODOアプリ — 概要とプロンプト例
作るもの: ブラウザで動くTODO管理アプリ(HTMLファイル1つ)。デモの追体験です。完成させて終わりではなく、そこから「機能追加→リファクタリング→テスト追加」と改修を重ねるところまでが本編です。
完成後の改造例(この順で): ①「タスクに優先度(高・中・低)を付けられるようにして」→ ②「コードが読みやすくなるよう整理(リファクタリング)して」→ ③「主要な処理に単体テストを書いて実行して」
お題5. テスト駆動ミニ開発 — 概要とプロンプト例
作るもの: ネットショップの「支払金額計算」を行う小さな関数と、その単体テストのセット。画面はありません。テストが全部通るのを確認してから仕様変更を頼み、テストも追従して直させる——「テストで守りながら改修する」実務の型を最小サイズで体験します(§5「生成コードの脆弱性」対策の練習でもあります)。
テストが全件通ったら(ここが本編): 「会員ランクの引数を追加して。ゴールド会員は金額にかかわらず送料無料。既存のテストも追従させて」——仕様変更のときにテストがどう守ってくれるかを観察してください。
code-practice-set フォルダ(または jks-legacy-system)を Code タブの作業フォルダとして開きます。題材は自由です。自分の業務の困りごとを任せてみてください(持ち込みのコード・データはダミー化+APIキー・接続情報・顧客名が残っていないか確認してから)。
「自由と言われても」という方への推しテーマ——都知事杯オープンデータハッカソン2026に出すつもりでアイデアを考えてみる。東京都主催の、オープンデータ活用サービスを競うハッカソンです。
- 「行政や生活の困りごとを解決するサービスのアイデアを30個出して」→ 気に入った1つを選ぶ(冒頭で紹介した TIPS #1 の実践です)
- 「このアイデアに使えそうな東京都のオープンデータを探して」→ Claude が Web検索で東京都オープンデータカタログなどを調べてくれます
- 「まず画面イメージが分かるモックを作って。計画から見せて」→ 実データを使った本実装は持ち帰りに回します
公式サイト: odhackathon.metro.tokyo.lg.jp(応募方法・審査スケジュールはこちら)。
30分後に、①自分の題材が動く状態になっている、②権限確認を読んでから許可するを一度は実践した、③「ここをこうしたい」の改造指示を2回以上出した——この3つが揃えば成功です。完成度は問いません。
§3.1bつまずいたときの確認ポイント
- ACode タブでフォルダが開けない → アプリを開き直してサインイン状態を確認。それでもダメなら 17:30 のセットアップ相談で使った手順に戻るか、スタッフを呼んでください
- Bエラーが出て動かない → エラーメッセージをそのままコピーして Claude に貼るのが最短です。「動きません」より「このエラーが出ました」
- C権限確認が多くて不安 → 読んで意味が分からない確認は、そのまま「これは何をしようとしているの?」と Claude に聞いてOKです
- D変な方向に進んでしまった・さっきの状態に戻したい → チャット欄に
/rewindと入力すると巻き戻しができます。「さっきの変更を元に戻して」と頼んでも構いません - E時間が余った → 2つ目のお題に挑戦するか、いま作ったものに「READMEと利用手順書を書いて」と頼んでドキュメント生成まで体験してください
§3.2Cowork で任せてみる Cowork
- Claude デスクトップアプリにサインインできている(第1回と同じアカウント)
- ホーム画面の入力欄で Cowork に切り替えられる(見当たらない場合はアプリを最新版に更新してください)
- 練習用の作業フォルダを1つ作ってある(例: デスクトップに「cowork-練習」フォルダ)
- お題用の配布データ一式をダウンロードして展開してある(cowork-practice-set.zip。§3冒頭の「配布データのダウンロード」表から。10のお題ぶんの架空データが入っています)
課題は「作りたい成果物を1つ決めて、計画書から Cowork に作らせる」です。デモと同じ「フォルダを整える → 計画書を作らせる → 注文して直させる → 計画書どおりに作らせる」の流れを、配布データで一周します。
01-keihi)を練習用フォルダにコピー → 入力欄下の「プロジェクトまたはフォルダ」から接続 → 「この作業がしやすいようにフォルダ構成を整えて」と頼みます。作業場づくりを Cowork 自身に任せる、最初の「任せる」体験です。1〜3はアンケートで要望の多かった「集計・チェック」系、4〜5は人気だった題材、6〜10は日常業務の定番。データはすべて架空です。
各お題のやりたいこととプロンプト例(クリックで開きます):
お題1. 経費明細の集計 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 半年分の経費明細CSVから、月別・費目別の集計表と費目別の円グラフが入ったExcelを作る。手集計なら半日かかる定番作業です。
計画書への注文の例: 「金額や頻度が不自然な明細があれば指摘するシートも足して」——このデータには気になる明細が仕込まれています。見つかるか試してください。
お題2. アンケート自由記述の分類 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 自由記述の回答100件を読んでテーマ別に分類し、テーマごとの件数表+代表的な意見を載せたExcelを作る。目視で全件読む作業を任せます。
計画書への注文の例: 「テーマごとにポジティブ・ネガティブの割合も出して」
お題3. 請求書の台帳転記と検算 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 書式がバラバラな請求書10通から請求日・取引先・金額を抜き出し、1枚の支払台帳Excel(合計の検算付き)にまとめる。転記ミスが起きやすい作業の代表です。
できたら: 台帳のうち1通ぶんは、元の請求書と自分で突き合わせてください(手順STEP 4の検算はここで実践)。
お題4. 会議メモ→議事録 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 打合せ中の走り書きメモに埋もれた決定事項・宿題(担当と期日)・持ち越し事項を拾い出し、そのまま共有できる議事録Wordに清書する。
計画書への注文の例: 「宿題は表形式にして、期日が早い順に並べて」
お題5. 座席・班分け表 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 参加者30名の名簿を、「部署が偏らない」という制約付きで5人×6班に分けた班分け表Excelにする。条件を満たす組み合わせを考える作業を任せます。
計画書への注文の例: 「同じ部署の人は1つの班に2人まで」のように制約を追加して、分け直させてください。
お題6. 散らかりフォルダの整理 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 「aaa.txt」「report_final_FINAL.txt」のような名前のファイル30個の中身を読んで種類別フォルダに分類し、命名規則でリネームする。ファイル名からは中身が分からない、が前提のお題です。
できたら: ファイルを動かす前に、計画書の「変更前→変更後」の一覧を必ず確認してから承認してください。ファイル操作系は計画の確認が特に重要です。
お題7. ベンダー比較表 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 記載の粒度がバラバラな3社の提案メモから評価軸を立てて、横並びで比較できるExcelの比較表を作る。「書いていないこと」をどう扱うかがポイントです。
計画書への注文の例: 「各社の懸念点と、次回打合せで確認すべき質問リストのシートも足して」
お題8. イベント案内セット — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: イベント開催概要の走り書き1枚から、①参加者向け案内文(Word)と②出欠管理の名簿表(Excel)の2ファイルを一度に作る。1つの元ネタから複数の成果物を出す体験です。
計画書への注文の例: 「社内チャットに貼る3行の告知文も足して」
お題9. TODOメモ→タスク表 — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 思いつくまま書き溜めたTODOメモを、期日・重要度を推定して優先度順に並べたタスク管理表Excelにする。AIの「推定」を人間が確認・修正する練習でもあります。
計画書への注文の例: 「『今週やるべきトップ5』だけを抜き出したシートも足して」
お題10. 業務マニュアルの下書き — やりたいこと・プロンプト例
やりたいこと: 口頭説明を書き起こしただけの手順メモを、新人にそのまま渡せる手順書Wordに清書する。番号付き手順と注意書きの分離が整形のポイントです。
計画書への注文の例: 「メモから読み取れる範囲で、よくある質問(FAQ)の章も足して」
30分後に、①フォルダに計画書と成果物ファイル(Excel・Word 等)の両方ができている、②計画書に注文をつけてから作らせた、③成果物を開いて1か所以上直させた——この3つが揃えば成功です。完成度は問いません。
§3.2bつまずいたときの確認ポイント
- Aフォルダの接続方法が分からない → 入力欄の下の「プロジェクトまたはフォルダ」からフォルダを選択します(§2.1 の画面図の②)。分からなければスタッフを呼んでください
- Bタスクが途中で止まった → アプリを閉じた・PCがスリープしたのが典型原因です。アプリを開いたまま再実行してください
- C計画書が思っていたのと違う・大ざっぱすぎる → そのまま日本語で注文をつけてください。「成果物のイメージ(列・グラフ・章立てなど)が具体的に分かるところまで書いて」と頼むと精度が上がります。計画書は何度でも直させられます
- D成果物の数字が合っている自信がない → 「この集計の根拠を説明して」と聞くか、1行だけ手で検算してください。確認してから使うのは Cowork でも同じです
- E時間が余った → デモ②の再現に挑戦してください。デモで使った素材(売上CSVと見本ダッシュボードExcel)をダウンロードしてフォルダに置き、「見本と同じ形式で月次ダッシュボードを作って」と頼むと、複数ファイルを組み合わせる動きを自分でも体験できます
種明かし① — Claude は何を読んで、何を使って動いているのか 共通
9分いまみなさんが体験したことの「裏側」を、2つの目線で説明します。まずこの章は使う人(技術者・AI利用者)の目線です。ここが分かると、なぜうまくいったのか・なぜ的外れだったのかを自分で説明できるようになります。経験者の方は、ここが今日の本編です。セキュリティや組織のルールの話は、次の種明かし②(管理者目線)でまとめて扱います。
§4.1Claude が使っている「道具」(ツール)
チャットのAIは「文章を返す」ことしかできません。今日のツールが作業まで任せられるのは、Claude が道具(ツール)を持っていて、それを自分で選んで使うからです。代表的な道具はこの4つです。
| 道具 | できること | 今日どこで見たか |
|---|---|---|
| ファイルの読み書き | フォルダ内のファイルを読む・書き換える・新しく作る | 貼り付けなしでファイルの中身を把握していた場面 |
| コマンド実行 | PC上でプログラムやコマンドを動かして、結果を確認する | 作ったものを自分で動かして確かめていた場面 |
| Web検索・ページ取得 | インターネットで最新情報を調べる | 知らないことを聞いたときに調べてきた場面 |
| 外部サービス連携 | Slack などの外部ツールとつながる(MCP/コネクタ) | 今日は未使用。第5回で扱います |
経験者の方向けに言い換えると、これが「エージェント」の正体です。モデル単体が賢いのではなく、「考える → 道具を使う → 結果を見る → また考える」のループを回しているから、複数ステップの作業を最後までやり切れます。
§4.2Claude が「見ている」もの — コンテキストの中身
では、道具を使いながら動いている間、Claude は何を「見て」判断しているのでしょうか。第1回で「コンテキスト=AIが一度に見て参照できる範囲(作業中の記憶)」という言葉を紹介しました。今日使った Claude Code / Cowork では、その中身はおおまかに次の4つです。
言葉だけだと分かりにくいので、さっきのデモ②(売上ダッシュボード)を例に、コンテキストの中と外を並べてみます。
- ① 指示と会話: 「見本と同じ形式で月次ダッシュボードを」「カテゴリ別の内訳も足して」という一連のやり取り
- ② 読んだファイル: 売上明細CSV(約4,000行)と見本Excel——だから列名も「前期のレイアウト」も知っていた
- ③ 道具の結果: 集計スクリプトを実行した結果の数字、途中で出たエラー
- ④ 指示ファイル: 計画書ファイル(読ませ直せば別セッションでも前提が復元できる)
- 接続していない隣のフォルダにある「本当の最新版」のファイル
- 昨日の別セッションで丁寧に説明したあの前提
- 社内ポータルにある集計ルールの規程(開いて見せていない)
- あなたの頭の中の「言わなくても分かるはず」
なお、この「見える範囲」(コンテキスト)は有限です。長く作業するほど、読んだファイルやツールの結果で埋まっていきます。使用量の確認や整理のしかたは第3回で扱います。
§4.3前提を覚えさせるファイル — CLAUDE.md とプロジェクト
「毎回同じ説明をするのが面倒」を解決するのが、さきほどの4つ目、自動で読み込まれる指示ファイルです。デモ②では計画書をファイルにして渡すと仕上げの指示がひと言で済みました。あの「前提はファイルで渡す」を、毎回自動で効く仕組みにしたものと考えてください。呼び名と置き場所がコースで違うだけで、役割は同じです。
作業フォルダの直下に置く CLAUDE.md という名前の Markdown ファイルです。ここに書いた内容(プロジェクトの前提・守ってほしいルール・よく使うコマンドなど)は、新しいセッションを始めるたびに自動で読み込まれます。
デモで「日本語でCLAUDE.mdを作成してください」と頼んだのがこれです。ゼロから書く必要はなく、まず Claude に下書きを作らせて、自分の言葉で育てていくのが実務的な始め方です。
手で足す例: 「このプロジェクトは〇〇のためのもの」「ですます調で書く」「テストは□□で実行する」
Cowork では「プロジェクト」を作ると、関連するタスクを1つの作業場所にまとめられ、そこに専用のファイル・指示・メモリ(覚えたこと)を持たせられます。同じプロジェクト内なら、前に伝えた前提を引き継いで作業してくれます。
注意①: プロジェクトに入れていない単発のセッション同士では、内容は引き継がれません。
注意②: CLAUDE.md は Claude Code の仕組みです。Cowork が接続フォルダ内の CLAUDE.md を読むという公式情報はないため(2026年7月時点)、Cowork ではプロジェクトの「指示」欄に書いてください。
実は、この講義資料そのものが Claude Code で運営しているリポジトリから作られています。そこに実際に置いてある CLAUDE.md の全文を公開します——前提・チーム・「MUST」ルール・資料の書き方まで、数か月運用して育った実物です。自分の CLAUDE.md を書くときのお手本にしてください。
種明かし② — 安全に任せるための仕組み(管理者目線) 共通
6分ここからは目線を変えて、管理者・リーダーの目線——自分のチームや案件にAIを持ち込むとき、何を心配し、何をどう縛れるのか——の話です。いま使う予定がない方も、「上司や情報システム部門に説明できる材料」として持ち帰ってください。
§5.1勝手に動いて大丈夫なの? — 安全のための仕組み
「PCの中を勝手に触るなんて怖い」と感じた方もいるはずです。その感覚は正しくて、だからこそ両ツールとも「勝手にやらせない」ためのブレーキが組み込まれています。
ファイルの変更やコマンドの実行前に、1件ずつ許可を求めてきます(ハンズオンで何度も押した「許可」がそれです)。さらに「まず計画だけ立てさせて、実行させない」プランモードもあります。どこまで自動で進めてよいかは、権限モードで自分で選べます。
許可を求められたら見るのは3点——①何をしようとしているか ②対象はどこか(作業フォルダの中か外か) ③失敗したら元に戻せるか。読んで分からなければ「これは何をするの?」と聞いてから許可すればOKです。
作業前に計画を提示して承認を待ち、アクセスできるのは接続を許可したフォルダだけです。Claude が書いたプログラムは隔離された仮想マシン(VM)の中で実行され、ファイルの完全削除にはあなたの明示的な許可が必要です。
2つのツールで「見える範囲・触れる範囲」の設計が違うことも知っておくと、使い分けの判断材料になります。
| Claude Code | Cowork | |
|---|---|---|
| ファイルの読み取り | 作業フォルダの外も読めます(コマンド実行を通じた参照は承認制) | 接続を許可したフォルダの中だけ |
| ファイルの書き込み | 作業フォルダとその配下だけ。外への書き込みは明示的な許可が必要 | 接続を許可したフォルダの中だけ |
| プログラムの実行場所 | あなたのPC上(だから承認制で守る) | Anthropicサーバー上の隔離環境の中(あなたのPCを直接触りません) |
Claude Code は道具が強力なぶん「承認」で守る設計、Cowork は最初から「囲い」を狭くした設計です。開発フォルダの外にある設定ファイルまで見てほしい作業は Claude Code、囲いの中で完結する事務作業は Cowork、という使い分けにもつながります。
§5.2セキュリティ — 「任せる」時代に知っておくリスク
AIに作業を任せられるようになると、これまでとは種類の違うリスクが生まれます。「何に気をつければ安全に使えるか」を整理します。
しません——それも、個人の注意頼みではなく、二段構えの防波堤で守られています。
ただし、読まずに許可すれば防波堤②は消えます。注意すべきは「パッケージ幻覚」——研究では16のコード生成モデルが挙げたパッケージの約2割が実在しない名前で、その「AIが言いがちな架空の名前」で悪意あるパッケージを先回り登録する攻撃(スロップスクワッティング)も確認されています。依存パッケージを追加する承認だけは、名前を確かめてから許可する——今日いちばん実践的な対策です。
AIコーディング全般の主なリスクと対策を1枚にまとめます。持ち帰り用です。Cowork の方は、まず3行目(秘密情報)と4行目(プロンプトインジェクション)が自分ごとです。上の2行は開発コース中心の話ですが、「AIの提案を読まずに承認しない」という教訓は共通です。
| リスク | 何が起きるか | 現実的な対策 |
|---|---|---|
| 生成コードの脆弱性 Claude Code | AI生成コードには一定割合でセキュリティ欠陥が混入することが複数の研究で報告されている。「動く」と「安全」は別物 | 生成コードも人間がレビューしてから取り込む(マージする)。テストを書かせて検証する(今日の初級編お題5がその練習) |
| パッケージ幻覚・スロップスクワッティング Claude Code | 実在しない/悪意あるパッケージをインストールしてしまう(サプライチェーン攻撃) | 依存追加の承認は名前を確認してから。lockファイルでバージョン固定。見慣れない名前は公式レジストリで実在確認 |
| 秘密情報の混入 共通 | APIキー・認証情報をコードやプロンプトに書いてしまい、生成物や履歴に残る | 秘密はコードに書かず環境変数等で渡す。.env の中身をAIに見せない・貼らない |
| プロンプトインジェクション 共通 | WebページやREADME・ファイルに仕込まれた「隠れた指示」をAIが実行してしまう | 信頼できないコンテンツを直接流し込まない。Claude Code側にも対策あり(Web取得は隔離されたコンテキストで処理、危険操作は承認制) |
| 過剰な自動化 共通 | 権限確認をすべてスキップする運用にすると、上のすべての防波堤が消える | 確認スキップ系の設定は隔離環境(コンテナ・VM)専用と公式も明記。普段は承認制のまま使う |
§5.3個人の注意から、チームのガバナンスへ — settings.json と組織ポリシー
ここまでの対策は「使う人の習慣」の話でしたが、仕組みで縛ることもできます。Claude Code のルールは settings.json に書きます——「聞かずに実行してよい(allow)」「必ず確認(ask)」「禁止(deny)」をコマンドやファイル単位で:
ルールを置く場所で、効く範囲が変わります。個人 → チーム → 組織全体の4段階です:
| 誰のルール | 設定する場所 | 効く範囲 | 利用者による上書き |
|---|---|---|---|
| 自分用 | %USERPROFILE%\.claude\settings.json |
自分のPCだけ | 可 |
| プロジェクト用 | 作業フォルダ内 .claude\settings.json(Git共有) |
そのプロジェクトの全員 | 可(個人設定と併用) |
| 組織全体 Claude Code | managed settings(管理者が強制配布。Team プラン対応) | 全メンバーの Claude Code | 不可 |
| 組織全体 チャット・Cowork | 組織設定「コード実行」(外部通信の許可・ドメイン許可リスト) | 組織の全メンバー | 不可 |
組織全体のルールでは、「確認をすべてスキップするモードの禁止」「使ってよい外部連携(MCP)の限定」なども強制できます。個人の注意力だけに頼らず、チームとしてガバナンスを効かせられるということです(注: 外部通信の制御は Web検索・ウェブフェッチ・MCPコネクタには適用されません)。当社での標準設定は、ワークショップ後の展開時に情報システム部門と詰めていく予定です。
持ち帰り演習
次回まで次回(7/16)までの宿題です。今日触ったツールを、自分の題材でもう一度動かしてみてください。
講師のお題ではなく自分で決めた題材で、今日のツールに作業をひとつ任せ切ること。それだけです。題材も進め方も自由です。
自分で決めた題材で、ツールに作業をひとつ任せ切れていれば成功です。うまくいかなかった場合も、「どこで詰まったか」を次回に一言話せればそれで十分——その体験談が第3回(前提を覚えさせるファイル)の出発点になります。
§6.1つまずいたときの確認ポイント
- A題材が思いつかない → 「毎回手でやっている小さな作業」が狙い目です。それでも迷ったら、今日のハンズオンと同じお題を自分の好みに変えるだけでも構いません
- BClaude Code が起動しない → まず Claude デスクトップアプリを開き直し、上部の「Code」タブに切り替えてください。VS Code 派の方は右上(またはサイドバー)の Claude アイコンから開きます。見つからない場合はセットアップガイドの「2. Claude Code」を最初からやり直してください
- CCowork のタスクが途中で止まった → アプリを閉じた・PCがスリープしたのが典型原因です。アプリを開いたまま、電源設定を確認して再実行してください
- D利用上限に達した → 5時間ごと・週ごとにリセットされます(第1回 §5.2)。リセット時刻は 設定(Settings)→ Usage で確認できます
クロージング
§7.1今日の持ち帰りポイント
リファレンス
当日は触れませんが、もう一歩知りたくなったとき用のメモです。今日読まなくても大丈夫です。